倉本会長は大満足「新世界基準」メジャーの難しさとは?
今季の国内男子メジャー初戦「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」は、コースレートが「77.4」と日本で最も高い難易度を誇るゴールデンバレーGC(兵庫県)で開催されている。大会は3日目を終えて手嶋多一が通算8アンダーと、戦前の予想を上回る好スコアを出し、主催する日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長は「嬉しい誤算」と選手の活躍を讃えた。
プロゴルファー日本一決定戦を謳う2つの国内メジャーのうちの1つ(ほかに次週の「日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills」)。就任してから初の主催メジャーでもあり、倉本会長は大会前、「新世界基準のコースセッティングにします」と強調していた。言葉通り、3日目に、ある戦略が実施された。3番パー3を214ヤードから158ヤードへ、最難関の13番パー4を469ヤードから450ヤードへ、ティグラウンドの位置を大幅変更したのだ。
56ヤードも短くした3番は、ピン位置を手前から12ヤード、左から6ヤードと池ぎりぎりに切ることで、バーディもあれば池に捕まりダブルボギー以上もあるという設定に。13番は結果的にこの日も最難関となったが、距離を縮めた分、やはりピン位置を厳しくし、予選ラウンドとは異なる難関要素で、選手のポテンシャルを試す設定とした。
優勝賞金3000万円を賭けたムービングデー。この2ホール以外も、全体的にピンを左右に振り、ピンポイントでアイアンショットを打てないとチャンスはないというセッティングで、チャンピオンたるべき選手を見極めるふるい落としが図られた1日だった。
倉本会長は「コース側からはもっと難しくして欲しいという要望もありますが、選手のやる気をそぐような厳しすぎるセッティングはしません」と、チャレンジが報われないような“非世界基準”の難しさは演出していないことを断言。大会関係者は、最終日も3、4つスコアを伸ばす選手が出ることを予想している。
会場コースは、左サイドに小川が流れるデザインになっているホールが多く、この3日間を振り返ると、小川や池にボールを入れてスコアを大きく崩す選手が多い。144選手が出場した初日は156個、2日目は159個のボールがハザードに消え、67選手に絞られた3日目も79個が池ポチャなどの憂き目にあった。
「初日よりも風が穏やかな2日目の方が多いのも興味深いですよね。それだけ選手は攻める気持ちでコースと戦っているということです。ツアーのレベルが確実にアップしていると確信しました」と、倉本会長は選手たちの挑む姿勢に満足そうだ。
この日6アンダー首位タイで出た大田和桂介はダブルボギーを2つたたくなど「82」でオーバーの37位に後退し、「コースの罠にすべてはまってしまった」と肩を落とした。戦っている選手たちもわずかなミスがボギーに直結し、そのミスを受け入れないとダブルボギー、トリプルボギーに繋がることを理解している。
この日、全選手が記録したバーディ数は218個、ボギーが215個でダブルボギーが52個、トリプルボギー以上が10個だった。倉本氏が求める「世界基準」の大会は、最終日もおそらく、ハイリスク、ハイリターンの戦いとなる。(兵庫県西脇市/本橋英治)