アリの巣に止まったボール、どう処理する? 細川和彦
国内男子ツアーの「フジサンケイクラシック」は30日(木)、山梨県の富士桜カントリー倶楽部で開幕。1アンダーの15位タイと上々のスタートを切った細川和彦のラウンドには、なんとも珍しい“ルールトラブル”があった。
インから出た細川は折り返しの18番で、第1打を左サイドのフェアウェイバンカーに突っ込んだ。ショットは曲がったが「転がって(バンカー内の)平らなライから打てるはず」と落ち込むこともなく歩いていくと、その思惑とは違い、ボールは埋まっていた。「どうして“目玉”に・・・」と頭の中は疑問符でいっぱいになったが、そのボールの付近を良く見ると無数のアリが周囲を駆け回っている。細川の打球は、“彼ら”の巣をふさいでしまっていたのだった。
同組のルーキー、川村昌弘は「アリ、かわいそうですね・・・」とポツリ。確かにそうだ。このまま彼らの寝床を一瞬にして奪い去るわけにもいかない。競技委員を呼び、処置を聞く。裁定集には“アリの巣”の記載が無く、ツアーでも例を見ないケースとあって、5人の競技委員は無線も駆使して“会議”を実施。「規則25-1.異常なグラウンド状態」に類似するものと判断し、特別措置として救済。同じバンカーの中、1クラブレングス以内でドロップして、3打目を放った。
このホールでなんとかパーを拾った細川。「こんなの初めて!」と大笑いする。実は話のオチはこれにとどまらない。後半6番では、手引きカートの車輪が外れてしまうアクシデントが発生。そこからキャディは、バッグを担いでホールアウトすることになった。
今大会は前週の「VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」で単独3位に入ったことで開幕直前に出場権を獲得。しかし待ち受けていたのはドタバタの18ホール。「なにか良いことないかなあ」と、苦笑いで明日を見据えていた。(山梨県富士河口湖町/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw