深堀圭一郎は4位後退も「次につながる」
栃木県の烏山城カントリークラブで開催中の国内メジャー初戦「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」3日目。強風が吹き荒れたムービングデーを序盤、6アンダーの単独2位から出た深堀圭一郎が引っ張った。
出だしの1番(パー5)。残り203ヤードの第2打で握ったのは7番アイアン。追い風に乗せて2オンに成功すると、7メートルを見事に沈めてイーグル発進を決めた。予選ラウンドを終えてトップの谷口が6番で3つ目のボギーをたたくと、首位タイで並ぶ。そして9番で手前から4メートルのバーディパットを沈めると、通算8アンダーとし、2打差をつけて折り返した。
しかし後半10番、グリーン左手前からの難解なアプローチを残したところから状況は一変。ボギーとすると、風の影響も受けながら、ショットが乱れはじめる。12番からはボギー、ダブルボギー、ダブルボギーと3ホールで5ストローク後退。結局終わってみれば「76」で通算2アンダーの4位タイに順位を下げた。
しかし、2008年「マイナビABCチャンピオンシップ」以来の最終組でのプレーを終え、疲労感を漂わせながらも、表情は決して暗くない。「久しぶりの最終組。自分が想像している以上に力も入った」。2年以上の苦しみの種だった左足裏痛の手術からの復活を期す今シーズン。「ひとつ何かが変わると、一気に反対の方向に行ってしまう。そこをどうするか」と、優勝を争う久々の感覚は肌からしみ込んできた。
前日2日目を単独2位で終えた後、「ケガをして、心が弱くなっている。そこを、どう戦いの場所に持っていくか」と直面する課題を口にしていた。手術、リハビリを経て表舞台には戻ってきた。けれどまだ、“ハート”の方は最前線でプレーしていた時とのギャップを感じずにいられない。
だがこの日の終盤17番(パー5)。深堀はティショットをアイアンで刻むと、第2打はグリーン手前のクリークを恐れず、フェアウェイウッドを強振して2オンを狙った。「流れも悪くて、ちょっと迷ったけれど。でも自分のショットが『当たらないな』と思ったら、狙わなかった。自分の気持ちに打ち込むためにも、自分のためにフルスイングしてみようと思った」。
ボールは少しばかりドロー回転がかかり、グリーン左手前に落ちた。アプローチが寄り切らず、結局バーディとすることはできなかったが「ああいうショットが、無謀と捉えられるかは状況によって。僕はプラスに考えている。すごく良いチョイスだったと思っている」と言った。後悔のない笑顔だった。
「厳しいコンディションで疲れたけれど、次のゴルフにきっと繋がる。きょうは反省したい。前半から後半に入ったところの、バタつきをどう落ち着かせていくか」。本当の意味での“復活”へ、価値ある1ラウンドとなったはずだ。(栃木県那須烏山市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw