日本OP最終日は“一発逆転シード権”の可能性
国内男子メジャー第3戦「日本オープン」は9年ぶり通算9勝目を狙う佐藤信人が通算6アンダーで単独首位に立ち、2位のネベン・ベーシック(オーストラリア)に2打差をつけて最終日を迎えることになった。
石川遼や池田勇太、そして昨年のローアマチュア松山英樹らの活躍にスポットライトが当たっていた大会前。ふたを開ければ、熟練の技を持つベテラン勢と外国勢が存在感を際立たせている。佐藤に加えて手嶋多一、2週連続Vがかかる久保谷健一。通算1オーバーの6位タイには9月の「アジアパシフィック パナソニックオープン」を大逆転して勝った平塚哲二も。アラフォーが難セッティングの中を必死で耐え、上位をキープしている。
2009年シーズンを最後に、シード権を失った佐藤。今季はこれまでに2試合に出場しているが、いずれも予選落ち。つまり賞金額は0円となっている。しかし今大会を勝てば5年間の優勝シードはもちろんだが、単独2位では賞金2200万円、単独3位でも1540万円を獲得。ここ数年の翌年の賞金シード権獲得の“ボーダーライン”といわれる1100~1300万円前後を超えてくる可能性がある。
また、手嶋は前週までの賞金ランク94位と、15年守り続けてきたシード権喪失の危機にある。さらにいえばベーシックも初シードを狙う存在。現在までに約1074万円を稼いでいるだけに、ここで一気に“決めてしまいたい”という思いも当然あるだろう。
そして1オーバー、6位タイの秋吉翔太は今大会がプロ転向後レギュラーツアー初出場。当然ながら獲得賞金額は0円だ。熊本出身の21歳は高校卒業前にプロ宣言したが、その後は地道に努力を続けてきた。3日間毎日、ラウンド後は「とにかく一生懸命やろうと思いました」と初々しいが「少しでも上位で終われれば、今後も試合に出られる可能性もある。ガッツリ稼ぎたい。一打、一打真剣にやりたいと思います」とも欲もある。
いよいよ最終日。日本一の座をかけた戦いはもちろんだが、ローアマチュア賞をめぐる戦い、そしてこの“一発逆転”のシード権争いにも注目したい。(千葉県千葉市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw