「追いかけるだけでは悔しい」 中島啓太はアマ2勝目に本気だ
◇国内男子◇アジアパシフィックダイヤモンドカップ 最終日(15日)◇大洗GC(茨城)◇7163yd(パー70)
もうそれだけが目標ではないにせよ、大会のベストアマチュアには遠い内容とスコア。3バーディへの満足感を7つのボギーがかき消す。「チャンスを作るどころか明らかにボギーになるところに何回も行ってしまった。きょうはひどいゴルフ」。中島啓太(日体大4年)は自分への怒りを鎮めるように言葉を紡いだ。
初めてプレーした大洗GCの高い難度は言い訳にしない。「もちろん難しいですけど、スコアを伸ばしている選手は伸ばしている。自分の攻め方、技術が足りなかっただけ」と2オーバー32位の成績にため息をつく。同い年のアマチュア鈴木晃祐(東北福祉大4年)がこの日、ベストスコア「63」をたたき出したことを思えば、なおさらだ。「きょうのセッティングで7アンダーは本当にすごい」と、純粋にたたえるほかなかった。
2週前の「中日クラウンズ」でも7位に入りながら、パットを打ち切れないシーンの連続に「情けない」とこぼした。昨年の「パナソニックオープン」で優勝、すでに多くのプロよりも実績を残しているのだから、その言葉も鼻持ちならないものではない。
6月に「全米オープン」、7月「全英オープン」にアマとして出場する。海外メジャーを終えるこの秋にプロ入りする構想は変わらない。「僕も先輩方の背中を見て成長できた。またそれを受け継いでいかないといけないし、(アマチュアのうちに)後輩に何かを残してプロ転向したい」ともナショナルチームのリーダーとしての自覚も揺るがない。
だが、21歳の胸の内は複雑だ。現状に、この一見輝かしいアマのキャリアに満足はしていない。「自分は先輩方が残してくれた歴史を僕は追いかけているというか。そういう立場はすごくうれしいんですけど、正直ちょっと悔しいところもあって」と明かした。
日本ツアーでのアマチュア優勝は史上5人目だった。「アジアアマ」優勝、世界アマチュアランク1位、アマでのメジャー出場も松山英樹、金谷拓実に続くものだった。尊敬してやまないとはいえ、彼らの“2世、3世”で甘んじるつもりはない。自分だって、日本人としての「前人未到」の金字塔を打ち立てたい。
だからこそ、次の快挙には本気の熱意を向ける。「自分が何か新しいものを作れるとしたら、アマチュアでの2勝目というところだけだと思うんです。そこだけを目指して残りの短い期間は頑張りたい。もちろん今週も少し意識していました。きょうもプレーしながら、(先輩に続く快挙達成は)うれしく思う部分と、悔しい部分もあるな…と思っていた」
次週は日体大ゴルフ部のキャプテンとしてリーグ戦に出場する。ツアーは6月2日(木)開幕の「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」(茨城・宍戸ヒルズCC西コース)への参戦が濃厚。プロ入りへの残された日々を安穏と過ごすつもりはない。(茨城県大洗町/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw