ジョンソンとスピースのバトル再燃
セントアンドリュースで開幕した第144回「全英オープン」は、ダスティン・ジョンソンとジョーダン・スピースとのライバルの構図が再び浮き彫りになり、一カ月前に開催された「全米オープン」と驚くべき類似点を見せる展開となった。
チェンバーズベイでもそうであったように、ジョンソンは初日を「65」でラウンドして首位に立った。一方のスピースは「67」の5アンダーと、今回は初日終了時点の首位との差を縮める形でラウンドし、メジャー3連勝を狙う中、ささやかれた調整不足の懸念を吹き飛ばしてみせた。
1999年の大会王者であるポール・ローリー、イングランドのダニー・ウィレット、ジェイソン・デイ、レティーフ・グーセン、ザック・ジョンソン、ロバート・ストレブは風が増す前の容易なコンディションの中を「66」でラウンドし、2位タイにつけた。今年の「全米」で2位に入り、「全英」では2010年大会を制覇しているルイ・ウーストハイゼンは、5アンダーでスピースと並んでいる。
スウェーデンのデビッド・リングマースは記録に並ぶ「29」で前半をラウンドし、メジャー史上初の「62」を期待させるも、後半を「40」でラウンドし、初日のスコアを「69」の3アンダーとした。
しかし、何と言ってもギャラリーの注目は、年間グランドスラムというかつてない偉業達成へ向けメジャー3連勝を狙うスピースと、直近のメジャーでニアミスの憂き目を見たメジャー初優勝を狙うジョンソンの同居する17組に集まった。
R&Aの計らいにより同組となった米国の2人組は、あたかも全てのショットで競い合うかのごとくプレーを展開し、ともに「31」で前半を折り返すと、12ホール終了時点でも6アンダーで並んでいた。
スピースは13番、有名なロードホールバンカーにつかまった17番でボギーを叩き、彼も人間であるということを証明するも、最終ホールでは湾曲したラインの6メートルのバーディパットを沈めた。
「このスタートにはとても満足している」と、タイガー・ウッズとベン・ホーガンしか達成していない年間メジャー3勝を狙う21歳のスピース。
「僕らの組では『65』が出たけれど、そのDJのドライバーの好調がこのまま続くようであれば、僕は優勝を狙う上でベストのゴルフをしなければならなくなるね」
「380ヤードも飛ばしてバンカーを楽々クリアし、5、6ホールで2パットのバーディを奪うような人間と勝負するのは厳しいものだよ。僕にはそんな真似できないけれど、彼のクレイジーな身体能力に対抗できるだけの技術は見せられたと思う」
「彼がティに立つときは、いつだって数マイル先のフェアウェイをとらえると僕は思っている。でも同様に、僕がティに立つときは、どのホールだってバーディが奪えると思っているんだ。そこに到達するまでのルートが若干違っているだけの話なんだよ」
スピースとジョンソンはチェンバーズベイの72ホール目では同じルートでグリーンに到達したが、スピースがバーディを奪ったのに対し、ジョンソンは3.6メートルを3パットし、1打差で敗れた。
「チェンバーズで彼は度を越えて良いプレーをしたと思う。別に彼は失敗をしでかしたわけじゃないんだ」とスピース。「単に彼にとって不運なラストホールとなってしまっただけなんだ。もちろん、僕は彼がいつだって相手を打ち負かす男だと思っているよ。彼は誰にも増して才能に恵まれているんだ。とにかく彼を上回るプレーをしなければならない」
ジョンソンは月曜に、チェンバーズベイでの出来事から心理的な恐怖は引きずっていないと強調したが、1.8メートルのイーグルパットを決め、バーディを5つ奪い、ノーボギーのラウンドを完遂することにより、自身の言葉が正しいことを証明した。
「チェンバーズベイでは悪いことがあったわけではないから、特にがっかりしたわけではないんだよ」と31歳のジョンソン。「僕はやるべきことをやったんだ。あそこのグリーンではボールの転がりをコントロールすることは不可能だった」。
「あれについては、良い感触こそ得たものの、悪い心持ちはしなかったんだ。とても良いプレーができたし、今日も引き続き良いプレーができた。『65』で回ればいつだって喜ばしいものだよ。今日は本当に良いプレーができたと思う。16番と17番で鍵となるパーパットを沈めることができた」