地元で輝きを放ったハリントン
「アイルランドオープン」初日は、午後のわずかに簡単になったコンディションを活かしたパドレイグ・ハリントンがマックス・キーファーと並び、首位タイで発進する展開となった。
かつての大会王者であるハリントンはロイヤルカウンティーダウンを「67」でラウンドし、最終組でラウンドしたドイツのキーファーのみがそのスコアに並ぶことに成功した。
米PGAツアーの「ホンダクラシック」を3月に制しているハリントンは、2008年の「全米プロゴルフ選手権」以来となる欧州ツアー制覇に向け絶好のスタートを切った。
ダブリン出身の43歳は、10番を終えた時点では1オーバーだったが、その後の6ホールで5つのバーディを奪い、キーファーと首位で並び、かつて「ライダーカップ」のチームメイトだった2位のソレン・ハンセンに1打差をつけた。
「9ホールか10ホールを終えたところで、『おい、どうした。良いショットを打てよ、怖がるんじゃないぞ』と自分に言い聞かせたんだ」とハリントン。先週のウェントワースでは、肩の負傷のため2ホールを終えたところで棄権しており、その後、集中的な治療を受けたが、4日後に「全米オープン」の出場権をすんでのところで逃している。
「これまでの経験から、僕はこの大会でどのような試合運びをすべきか、いくつかのオプションがあるのは分かっているんだ。2つのオプションがあるね。素晴らしいプレーをしてフィールドから抜け出すか、平均的なプレーで日曜の午後に奮闘するかのいずれかだね」
ロングホールの12番でイーグルを奪うなど、一時は5アンダーまでスコアを伸ばしたキーファーは、最後から2つ目のホールとなった8番でボギーを叩いて4アンダーとした。
「良いプレーだったし、今日のカギはパットだったね」と24歳のキーファー。2年前に「スペインオープン」で長いプレーオフの末ラファエル・ジャクリンに屈しており、欧州ツアー初優勝を狙っている。
「前半はグリーン外から3パットを2回したけれど、それ以降は2回ロングパットを沈めたんだ。あれで勢いがついたね。あれは良かったよ」
「まだ先は長い。ここはタフなゴルフコースだしね。世界最高峰の選手たちがイーブンパーで回れないくらい苦しんでいるんだから、これから3日間は面白くなると思うよ」
世界ナンバーワンにして大会ホストのロリー・マキロイは、残念な結果となった初日のラウンドを終えた後も、どうにかユーモアのセンスだけは保つことができた。
マキロイは8ボギー、ノーバーディの「80」と、この日の午前中にスタートした78人中7人しかアンダーパーでラウンドできなかったコースコンディションに手を焼いた。
「僕がやらかしたほど難しかったわけではなかったんだ」と、寒く、風が吹き荒れ、時折降雨のあったコンディションでのオープニングラウンドを終え、皮肉混じりの笑みを浮かべながら明かしたマキロイ。
「練習レンジでは調子が良かったんだ。低い弾道のハーフショットが良い感じで打てていたんだけど、コースでは思ったほど風が強くなかったので、2つあったプレーの選択肢で悩むことになった。それでグリーンを外し、3、4メートルのパーパットが残ることになり、その全てを決めることができなかったんだ」
マキロイの協力によりトップクラスのフィールドが集結し、各日2万枚のチケットを売りつくしたこの大会で、マキロイは獲得した賞金を全て自身の運営するチャリティー基金に寄付すると宣言している。
「がっかりだね。自分のためだけではなく、その他の多くの人のためにも良いプレーがしたかっただけにね」とマキロイ。「こうなったら、明日は自分のゴルフを取り戻し、良いスコアを出すだけだよ。観客を沸かせたいし、9番グリーンを去る際に同情の拍手なんか受けたくないんだよ」。
「僕の目標はいくつかバーディを奪うこと。どこかでこの大会初のバーディを奪わないとね。ここ2年は連続して予選落ちを喫しているから、3年連続にはしたくないね。明日はとにかくそれを目指して戦いたいし、予選通過が果たせれば最高だね」
マキロイと同組でプレーしたリッキー・ファウラーは、優勝した「ザ・プレーヤーズ選手権」以来となった大会の初日を「71」で回った。一方、同じくビッグネームのルーク・ドナルドはそれを1打上回る「70」で初日のラウンドを終えている。
この月曜に世界ランキングのトップ60からもれ、「全米オープン」の出場権を逃したドナルドだが、この大会でトップ10入りを果たせば、3枠あるセントアンドリュースでの「全英オープン」の出場権を手にすることができる。
「それについては余り考え過ぎないようにしている。とにかくソリッドなプレーをして安定感を取り戻したいね」と、かつての世界ナンバーワンであるドナルドは語った。