アジアンツアー会長寄稿/2015年3月号
アジアンツアー・チラハン会長 「ラヒリ万歳」
このわずか8年の間に、インドのアニルバン・ラヒリはゴルフスターに憧れていただけの存在から、世界トップ50位以内のゴルファーへと飛躍を遂げた。
08年にラヒリがルーキーとしてアジアンツアーに参戦したとき、それは彼がプロ転向してから1年後のことだったが、彼はまだプロゴルフ界でいうヒヨッコだった。ゴルファーとしての人格形成期に、彼はプロゴルフの基礎・基本に慣れるために時間を使い、すべてにおいて上達するために一生懸命取り組んだ。
ゲームを研ぎ澄まし、必要な経験を積み、最終的にアジアンツアーで勝つ術を学んだ今、ついにラヒリは世界でも有数のゴルファーとして頭角を現した。
2015年シーズン早々の3週間で、アジアンツアーと欧州ツアーの共催試合2つを制するという素晴らしい偉業を成し遂げた。実際彼はこの10カ月で4勝を挙げている。この期間、勝利数で彼を上回ったのは世界ランク1位のロリー・マキロイただ1人だ。
2月の「メイバンク・マレーシアオープン」で射止めた栄冠は、ラヒリのキャリアと自信にとって甚大だった。金曜日の時点では上位に影も見えなかったが、3日目に10アンダー「62」、最終日に「68」をマークして、大会史に残る逆転劇を演じてみせた。
その勝利は不屈のインド人を世界ランキング37位へと押し上げ、このアジアンツアーの新星の上にスポットライトを降り注いだ。
ラヒリにとってだけではなく、この勝利はアジアンツアーメンバーによる連勝記録も継続した。彼の勝利以前には、賞金王デビッド・リプスキーとスコット・ヘンドが昨年それぞれ、スイスで行われた「オメガ・ヨーロピアン・マスターズ」と「香港オープン」を制している。
ラヒリの成功のあと、ツアーメンバーのアンドリュー・ドットがブラックマウンテンで行われた第1回「タイランドクラシック」で感動的な勝利を味わった。彼にとっては、2010年にインドで行われた「アバンサ・マスターズ」以来となる共催試合での優勝だった。
しばしの充電後、ラヒリは欧州ツアーとの共催試合3連戦目にあたる「ヒーローインディアンオープン」に出場した。
難易度の高いデリーGCで彼の優位は動かないとの見方が大勢を占めていたが、勝負は同郷の伏兵S.S.P.チョウラシアとのプレーオフまでもつれ込んだ。それは困難な勝利だった。チョウラシアは最終日の荒れ狂ったコンディションに力尽きるまで、初日から3日間首位を譲らなかったのだ。
マレーシアでは1打差、インドではプレーオフと、どちらの勝利も僅差で掴んだものだった。彼の闘争心は突出しており、また、それはすべてのチャンピオンが持つ特性でもある。
ラヒリの素晴らしい奮闘は、今年行われる4大メジャーすべての出場権を得られる世界ランク50位以内、そしてシーズン後半に韓国で行われるプレジデンツカップの世界選抜メンバー選出圏内へと押し上げた。
まるで1人だけ優先道路を行くようだって?そう、この3週間でラヒリは彼の目標をほぼ達成したが、シーズンはようやく始まったばかりなのだ!
今、この27歳はゴルフ界で最も切望される優勝を見据えている―そう、メジャー大会だ。ラヒリにとってゴルフ界最大の舞台は初めて挑む試練になるが、彼のわき上がる自信を持ってすれば、期待以上のものを期待しても良いだろう。
私はラヒリと他のアジアンツアーメンバーが2015年もより一層の驚きを提供してくれると確信している。見逃してはダメだ。