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バレロテキサスオープン
期間:04/20~04/23  場所: TPCサンアントニオ(AT&Tオークス)(テキサス州)

<選手名鑑235>カーティス・ラック

■世界アマランク1位のラック デシャンボー、ラームに続きプロデビュー

日本ツアーに参戦し、羽織姿を披露したカーティス・ラック

世界アマチュアランク1位に君臨した選手が、続々とプロの世界へと羽ばたいている。昨年4月のマスターズ後にはブライソン・デシャンボー(23)、6月の全米オープン後にはホン・ラーム(22)がプロ転向。そして豪州出身のカーティス・ラック(20)も、2週前のマスターズに出場し、46位タイで終了し、プロ転向を表明した。今週のバレロテキサスオープンでプロデビューする。

「マスターズでシルバーカップ(ローアマ賞)をとれず残念だったが、あまり調子が良くなくてもメジャーで予選通過することができ、自信になった。目標を達成できなかった悔しさをエネルギーに変え、プロとして頑張っていこうと思う」と決意を語っていた。こだわりのクラブセッティングと独自理論のスイングで奮闘するデシャンボー、1月末に初優勝、世界選手権でも優勝争いを続け、メジャーへの期待も大きいラーム。ラックはアダム・スコットアーロン・バデリーら豪州の先輩にも可愛がられ、活躍が楽しみな選手だ。

■トレードマークのポニーテール

サックス奏者のケニーGがゴルフをする時のように、ブラウンの髪をポニーテールにし、キャップの後ろに通している。普段、肩まである髪は束ねない。あごにはうっすらと髭を蓄え、ワイルドさが漂う。ゴルファーというよりアーティスト系の雰囲気だ。

プロゴルファーでポニーテール結う選手と言えば、まず思い起こすのはスペインのミゲル・アンヘル・ヒメネス(53)だろう。欧州ツアー21勝、チャンピオンズツアーでも4勝を挙げて躍進中だ。チェコ出身(現ドイツ国籍)、欧米両ツアーで優勝しているアレックス・チェイカ(46)も若い頃はポニーテールだった。

今年のマスターズ初日に首位発進し、注目を集めたチャーリー・ホフマン(40)もトレードマークはその長髪だ。「多く人に僕を覚えてもらいたいと思い、個性を表現した」という長髪だが、約2年前にバッサリと切った。理由は、娘に「その髪型、嫌い!」と言われたから。「でも切ってよかった。ショートヘアは乾かすのも短時間で楽だね」。

マスターズでメジャー初優勝を果たしたセルヒオ・ガルシアも、数年前にベリーショートにした。その理由を「練習、トレーニング、打合せ、取材対応、会食と…、選手はとにかく忙しい。シャワーの後、髪を整える時間がもったいない」と話していた。現在では、レギュラーツアーでポニーテールにしているのはラックだけ。彼が活躍するほどトレードマークになっていきそうだ。

■Good Luck ! 圧勝、大逆転のサプライズプレー

アマチュア時代のラックは、圧勝や大逆転のサプライズプレーばかりだった。昨年5月に行われたウェスタン全豪オープンは、豪州ツアーの公式戦で1921年に始まり、96年の歴史を誇る大会だ。最終日を2アンダーの「68」でプレーして通算19アンダーとし、2位のトラビス・スミスに2打差をつけて逃げ切った。同大会のアマチュア優勝は91年のスティーブン・リーニー、2012年のオリバー・ゴス以来、史上3人目の快挙だった。

翌6月には、ISPSハンダ・グローバルカップで日本ツアーに初出場。最終日を19位から出ると、1イーグル5バーディの「64」でプレーして通算13アンダーとし、5位と健闘した。見事ローアマチュアに輝き、表彰式で兜(かぶと)をかぶりサムライに変身した。

8月の全米アマ選手権決勝では、オクラホマ出身のブラッド・ダルク(21)を6&4で下して圧勝。優勝者にはマスターズの出場権を獲得できる11月のアジア・パシフィックアマチュア選手権。出場選手の気合は相当なものだった。ラックは14アンダーで首位のブレッド・コレッタに7打差で最終日を迎え、優勝争いからは程遠いと思われた。首位のコレッタはプレッシャーからか崩れ始めた一方で、ラックは最終8ホールで4バーディの猛攻。すでに全米アマ優勝で、マスターズ出場を確定させていたラックは、大逆転で制した。

好調は続き、11月に行われたエミレーツ全豪オープン(ワンアジアツアー)初日に、7バーディ、2ボギーの「67」をマークして首位発進。「再び、アマがプロの試合で優勝か」と注目されたものの、2日目以降はスコアを伸ばせず、ジョーダン・スピースが優勝した。ラックは11位タイの好成績でフィニッシュ。ラックは同年の活躍が評価され、豪州スポーツ省からスポーツ憲章を受賞した。新年を迎えた2017年3月には、目標の世界アマチュアランク1位に上りつめた。

■Bad Luck ! 大叩き→失格のPGAツアーデビュー

今年のアーノルド・パーマー招待は、パーマー没後の初開催とあって、いろいろな点に注目が集まった。そのうちのひとつが、ラックの実力が評価され、推薦でPGAツアーに出場したことだ。念願のマスターズ初出場を控え、プロ転向を予定していた彼にとって絶好の機会で、どのようなプレーをするのか期待していた。

だが、デビュー戦はとんでもない展開が待ち受けていた。初日は2バーディ、2ダブルボギー5ボギーと大荒れのプレーで「79」、2日目は18番パー4で“8”を叩くなど「82」でプレーして最下位が確定した。悪夢はそれだけでおさまらなかった。最終9番パー4をボギーとしたが、スコアカードには“4”と記入してしまった。自身のあまりの不調に気持ちが動転したのか、間違いに気づかずサインして提出。直後に、過少申告で失格となり、PGAツアーの初戦は苦すぎる経験となった。それでも落胆することなく、マスターズでは伸び伸びとプレー。プロになって仕切り直し、いよいよ大空へ羽ばたこうとしている。たくさんの素晴らしいことが起こるようにエールを贈りたい。「Good Luck !」。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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