パー5の2打目でショートアイアンも デシャンボーがマスターズを変える?
オーガスタナショナルGC 2番パー5 (575yd)
ゴルフの祭典と称される「マスターズ」が12日(木)に開幕します。コロナ禍にあって、11月開催もパトロン不在も大会史上初めてという異例の4日間。見慣れない秋のオーガスタとともに注目されるのが、9月の今季メジャー初戦「全米オープン」を自慢の飛距離で制圧したブライソン・デシャンボー選手のプレーでしょう。規格外のパワーが新たな攻略法を生み出すのか――。3つのホールをピックアップします。(解説・進藤大典)
84回を迎える大会で勝ち方はさまざまですが、デシャンボーによって、「マスターズ」は新たなステージに突入するかもしれません。彼の追求するスタイルがオーガスタナショナルGCに“はまる”とすれば、ライバルたちにとって、これ以上ない脅威になってくるはずです。
池が絡むホールも多く、獲りたいホールが獲れないと、どんどんゲーム展開が苦しくなるのがオーガスタの難しいところ。4つあるパー5でのボギーやダブルボギーは、絶対に避けなければいけません。それを徹底したのが2007年のザック・ジョンソン。すべてのロングホールでレイアップを選択する堅実なマネジメントを貫き、大会を制しました。
最初のパー5となる2番をチェックしてみます。この2番、さらに次の3番と序盤の中でも特にスコアを伸ばしていきたいホールです。
フェアウェイの真ん中が一番高くなっていて、それより左は林の中を走るクリークへとボールをいざなうように下っているのがポイントです。右の林はもちろん、深いフェアウェイバンカーもNG。それらを警戒してレイアップを選ぶ選手もいます。ティショットを幅に収める精度が求められ、神経を使います。
左ピンのときはグリーン右のバンカー手前に刻むのがバーディの近道、といったセオリーはあります。ただ、厄介なフェアウェイバンカーを“無視”できれば、攻略ルートはもっとシンプルになります。
10yd弱の打ち下ろしを計算に入れ、必要な飛距離はキャリーで310ydほど。バンカーを越えた先のフェアウェイの幅は一気に80ydほどまで広がりますから、ティショットにかかるプレッシャーは、かなり少なくなります。
フィル・ミケルソンがこの大会に向けてシャフト47.5インチの1Wをテストして話題を呼んでいますが、オーガスタを熟知している選手ほど、このバンカーを越える意味を知っているのです。
ティイングエリアから左の木もやや気になるとはいえ、ドローヒッターのデシャンボーにとっては比較的イージーなアングル。バンカーを飛び越えたボールは傾斜で残り150ydくらいのところまで転がり、パー5のセカンドで握るクラブがPWや9Iといった信じられない光景が見られる可能性もあります。