【WORLD】今こそオーガスタに女性会員が必要だ
Golf World(2012年4月16日号)GW bunker
オーガスタナショナルGCのためにも、ゴルフというスポーツのためにも、“これ”はもう止めなければならない。すべての女性のためではないかもしれないが、マスターズを愛する男性同様、ゴルフとマスターズを愛する女性のためにも、止めなければならない。
オーガスタナショナルGC・チェアマンのビリー・ペイン氏が行う記者会見の時に生じる場違いな質問や、気まずいノーコメントをなくすためにも、止める必要がある。そして(女性差別問題に取り組む全米女性団体の会長)マーサ・バークを静かにさせるためにも、止める必要がある。
オーガスタナショナルは、女性をメンバーとして迎え入れる必要がある。それは義務があるからではなく、関係者全員にとって最良の選択なのだ。同クラブはマスターズを開催することで他のプライベート・クラブと一線を画しているのだから。
もし2002年にマーサ・バークが、クラブと当時チェアマンだったフーティ・ジョンソンを相手取り、本格的なキャンペーンを打ち上げなければ、ほぼ間違いなく現時点で女性メンバーが誕生していたはずだ。女性メンバーを認めさせるため、クラブに恥をかかせようとしたバークの不格好な試みは、2003年のマスターズ3日目に、クラブ近くの広場で赤っ恥な“ラリー”を行うまでに発展した。このラリーは、抗議者よりもメディアの数の方が多い状況だったにも関わらず…。
マスターズの3大企業スポンサーの1つ、IBMのCEOにバージニア・ロメッティが任命された直後、バークは再び動き始めた。これまでIBMのCEOはクラブのメンバーとして招待されているが、バークはIBMの新CEOをメンバーにするという伝統を続けることが、クラブが女性に門戸を開くまたとない機会になる説明している。
バークが話し始めた途端、ペインと仲間のメンバーが「守りの姿勢」に入ったことは誰もが感じられただろう。この問題が持ち上がった時、ペインはチェアマンとしての態度に終始した。「メンバー資格はプライベートな問題なので、この問題については議論しない。とりわけ、そこに“特定の”候補者が含まれる場合は、議論はしない。今回の場合は、ロメッティだ」。
マスターズ開幕前日の会見でペインに向けた22の質問のうち10個は、女性とメンバー資格に関わるものだった。記者たちが別の角度から質問をぶつけようとすると、普段は温厚なペインは明らかに苛立った。ある質問に至っては、“サンキュー”と繰り返して中断し、コースの変更や、夜間の嵐対策といった、より気安い問題に方向転換しようとした。
オーガスタナショナルは、(入場者やビジタープレーヤーまでもが)男性メンバーに限定された他のクラブまで厳格ではない。女性もプレーできるし、クラブハウスで食事をしたり、マスターズウィーク期間中にはすべての施設に平等にアクセスできるようになっている。
ただメンバーになれないだけだ。だからこそ、クラブはこの問題に固執することは無意味なのだ。
クラブのプレスリリースにはならないだろうが、オーガスタが女性を認めたと報道された日が来た時、バークが勝利宣言したという見方に対して、ペインは間違いなく心を痛めるはずだ。だがペインはそれを乗り越えなければならない。バーグには敵視する価値もないし、ペインが神妙な顔つきをして、あらゆる形で浴びせられる同じ内容の質問の一斉射撃を浴びることに意味はない。
1990年のショール・クリークCCの出来事から(GDO編集部注:当時、黒人会員を認めていなかった同クラブで全米プロゴルフ選手権を開催するにあたり、騒動を鎮静化させるためクラブは黒人ひとりを名誉会員として招いた)、オーガスタナショナルはアフリカ系アメリカ人初の会員としてロン・タウンゼントを招いた。当時、チェアマンだったホード・ハーディンは、ショール・クリークの論議が巻き起こる以前から、タウンゼントに会員資格を与える議論をしていたと主張した。その言い分を信じる人がいるか、いないかは問題の本質ではない。現在でもタウンゼントは会員であり、その後、10人以上のアフリカ系アメリカ人が後に続いた事実があるのだ。
ペインがすべき最も賢く、最も簡単で、最良の策は、来年のマスターズ前に、クラブに女性メンバーを招き入れることだ。アフリカ系アメリカ人の加入、テレビ放送の拡大、そしてゴルフコースの変更の時と同様に、メンバーは正しいことをしたまでだと、ペインは言えばいい。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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