2017年 バルスパー選手権

<選手名鑑230>トーマス・ピータース(前編)

2017/03/08 08:00

■ベルギーの“Big Bomb” トーマス・ピータース

身長196 cm、400yd超をぶっ放す!25歳のトーマス・ピータース(Matthew Lewis/Getty Images)

ジャスティン・トーマスによる記録づくめの2連勝で沸いたのも束の間。今度はベルギーの「トーマス」が猛アピールだ。ベルギー出身のトーマス・ピータース(25)が2月のジェネシスオープンを2位タイで終え、今季出場わずか2試合目で大きな手ごたえを得たのだった。精悍なマスク、196cmの長身をフル活用したダイナミックなプレーは、優勝のダスティン・ジョンソンに負けない迫力を感じさせた。

大会は悪天候により最終日は第3、第4ラウンドが行われる長丁場。ピータースは第4Rで8バーディ、ボギーなしの「63」でプレーして、23人を抜き去りリーダーボードを駆け上がった。第4Rで、彼の次に良いスコアだったのはマーティン・レアードの「66」で、ピータースの「63」は鮮烈なスコアだった。バーディ数は21個で、優勝のジョンソンと並びフィールド最多の1位。パーオン率は72.2%でランク2位。大会での最長飛距離は343ydでランク9位。アグレッシブなプレーを最後まで貫いたが、ショットの安定感も光り、ブレイク直前の雰囲気を漂わせていた。

この2位でスペシャルテンポラリーメンバーの取得まであと13点。前年の150位のポイントに到達した時点で与えられるステータスで、取得後は多くの試合に参加可能だ。世界ランク33位(2月末現在)で、メジャーや世界選手権出場への出場も増え、活躍のチャンスは一気に拡大する。

■ライダーカップ史上初!初出場でアッパレ5戦全勝

昨秋のライダーカップで、欧州選抜チーム主将のダレン・クラークは「近い将来、タイガー・ウッズロリー・マキロイ級の超大物になる」とピータースを指名した。直前に欧州ツアー3勝目を飾り、初出場に胸を高鳴らせ、ミネソタ州ヘーゼルティンナショナルGCへ意気揚々と乗り込んだ。

初日の午前はリー・ウェストウッドとのペアリングで、ダスティン・ジョンソンマット・クーチャー組に5&4の大差で勝利した。午後はロリー・マキロイと組み、再びジョンソン、クーチャー組を3&2で撃破。主将クラークは、マキロイ&ピータースのコンビネーションにひらめき、“欧州の最強ペア”として戦術を変更した。2日目も午前、午後ともに送り出し、午前はフィル・ミケルソンリッキー・ファウラー組を4&2、午後はブルックス・ケプカ、ジョンソン組に3&1で連勝した。ピータースは最終日のシングルマッチでも、J.B.ホームズを3&2で下し、5戦全勝とした。

欧州チーム最高成績のみならず、1927年が初開催という長い歴史の中で、初出場にして全勝という選手は彼が初めてとなった(それまでの初出場選手の最高成績はニック・ファルドホセ・マリア・オラサバルセルヒオ・ガルシアの3勝)。残念ながら欧州チームは17対11で米国選抜チームに負けたが、ピータースの勝負強さは世界に強烈な印象与えた。

■身長196cmで400yd超をぶっ放す!

身長196 cm、体重85kg。長い腕を活かした大きなスイングアーク。ピータースはパワフルなショットを放つ。ベルギーの選手といえばニコラス・コルサーツ(34)が思い浮かぶが、コルサーツも屈指のビッグヒッターで、一時はバッバ・ワトソンダスティン・ジョンソンと並び、世界の超飛距離選手トップ3と評された時期もあった。

ピータースのキャリア最長ショットは420yd。2014年、スペイン開催のNHコレクションオープンでのことで、先輩コルサーツの記録419ydを1yd抜いた。もうひとつは2016年スコットランドで開催されたアルフレッド・ダンヒル リンクス選手権での407yd。この豪打は、欧州ツアー3勝目も手繰り寄せた。昨年8月のメイド・イン・デンマーク最終日は、大雨で4時間15分の中断が入った。再開後16番(パー3)でバーディを奪ったあと、17番、409ydのパー4。1Wのティショットは、355ydの豪打を放ち、雨でランが出にくい状況下でのウルトラディスタンスに、同組選手も度肝を抜かれた。残り54ydをピタリと寄せバーディ、最終ホールでもバーディを奪って逆転優勝を飾った。この見事な勝ちっぷりを見たライダーカップ主将のクラークは、この直後にピータースを指名したはず。平均飛距離は常に上位で、ルーキーの2014年は平均307yd、翌15 年は304yd、16年は302ydを記録。飛距離トップ10はピータースの指定席となっている。 (続)

※後編はホームシックを乗り越えた米国留学など

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