佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第五十三回】
■いよいよ決着!プレーオフシリーズ最終戦「ザ・ツアー選手権」
4試合に渡るプレーオフシリーズもいよいよ最終戦を迎える。この「ザ・ツアー選手権」を前にポイントが全てリセットされる。2009年からこのシステムに変更があり、ポイントリセットのタイミングを今大会とすることで、ここまで3戦を終えてランク上位者は、「ザ・ツアー選手権」に優勝すれば総合優勝できるようになった(それまでは、レギュラーシーズン最終戦「ウィンダム選手権」後にリセットされていた)。上位選手に、最後の最後まで総合優勝のチャンスを狙えるような可能性を残したということは、見ている側もプレーする側も楽しみが増す。一方、それ以外の選手でも、トップ30に残ったことで来季「全英オープン」以外のメジャー出場権を獲得でき、たとえ優勝していなくてもここに残ることができたという、まさにステータスが得られると言っても過言ではないのである。
■ボビー・ジョーンズのホームコース
コースはジョージア州のイーストレイクGCで、ここはボビー・ジョーンズのホームコースである。彼の父親がコースのメンバーで、近隣に住居を構えていた。ジョーンズは6歳の時からここでプレーをしていた。現在もクラブハウスにはボビー・ジョーンズ ルームというのが存在し、当時ジョーンズが優勝した4大メジャー(全米オープン、全米アマ、全英オープン、全英アマ)のトロフィーが飾られている。そのほかにも彼の使用したクラブや縁(ゆかり)の品の数々が飾られており、こういったものを見ると、彼の偉大さを改めて再認識する。また1900年代初頭のゴルフの雰囲気を感じられてノスタルジックな気分になれるのだ。このコースでは、ジョーンズを慕う選手や、ジョージア工科大学(ジョーンズの出身校)出身の選手たちは、姿無くともジョーンズに自分のプレーを見てもらう気持ちでプレーをするので、気持ちの入れ方が全然違うのである。だからトップ30に残ってプレーすることほど、光栄なことはないのである。
■見どころホールは18番パー3
そして見どころのホールは18番だ。セットアップはその日によって変わるが、約220ヤードのパー3である。この最終ホールでバーディを獲って優勝した選手は、これまでおらず、パーが獲れれば十分というホールである。むしろトップに立っている選手がスコアを落としてプレーオフに突入するなど、そういったケースの方が多いのだ。バーディを獲るスリリングな部分もあるけれど、トップに立っている選手がパーで切り抜けて勝てるかという守りの難しさ、そういったところが見どころのホールである。PGAツアーで18番がパー3のコースは、ここ以外にジ・オールドホワイトTPC(ウェストヴァージニア州)がある。ジ・オールドホワイトTPCはバーディを獲って逆転というセッティングにしているが、イーストレイクGCはその逆で、何とかボギーを叩かないようにして逃げ切れるかどうかが勝敗の分かれ目。シーズンナンバーワンを決める大会に相応しく、難セッティングで深みのある大会となっている。