2012年 チューリッヒクラシック

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第三十四回】

2012/04/25 11:00

■ 「チューリッヒクラシック」の歴史

1938年「グレーターニューオリンズ・オープン」として開幕、今年74年目。メジャーを除くと8番目の歴史を誇る。「NBCニューオリンズオープン(1975年~)」、「グレーターニューオリンズ・オープン(1980年~)」、「USF&Gニューオリンズオープン(1981年~)」など変遷を経て、2005年から「チューリッヒクラシック」と大会名を10度変更している。※1949~57年までは第2次世界大戦の影響で開催されず。過去プレーオフは10回を記録。開催場所であるTPCルイジアナは、7,520ヤード、パー72のコースで、設計はピート・ダイとスティーブ・エルキントン、ケリー・ギブソン。

■ 地元出身者たちがトーナメント開催に尽力

アメリカのディープサウスに位置するニューオリンズはゴルフの歴史が長い。とくにここルイジアナ大学出身の選手たちは、皆で力を合わせてトーナメントを盛り上げようと努力している。2005年に突如襲ったハリケーン・カトリーナによる甚大な被害を被ったことで、この地域はさらに結束を固くしている。現在は、開催コースをTPCルイジアナに移し、デビッド・トムズが中心となって大会を盛り上げる。この大会は、誰か1人の選手がホストとして立つ訳ではなく、地元出身者たち全員がトーナメント開催に尽力する。開幕前の火曜日にはレッスン会が行われ、ルイジアナ出身選手が参加するなど、地域密着で貢献、時間や手間を惜しむことなく協力している。また、この大会も「ウェストマネジメント フェニックスオープン」とまではいかないが、ギャラリー数が非常に多く熱狂的な大会なのも特徴のひとつ。地元住民たちも、出身選手が大会の盛り上げに貢献していることを知っているので、皆こぞって会場に足を運ぶのである。そのためトーナメント期間中は、ルイジアナ大学出身の選手に対する応援や拍手は盛大だ。

ただルイジアナという場所は、ゴルフ場には不向きとも言える。と言うのも、標高が低く、あるゴルフ場では地表の面積よりも、水面の面積の方が大きいというゴルフ場もあるくらいだ。土地が低いので、素晴らしいゴルフ場と言えるところは少なく、他州よりも地形に恵まれていなかった分、なおさら“ゴルフ”という競技を大事にしようという思いがあったのかもしれない。

また、この地域はケイジャン料理が有名だ。ケイジャン料理とは、地元で手に入る食材を生かした、素朴でシンプルな庶民の料理である。チリペッパーなど香辛料が効かせ、エビやカキ、カニを中心に魚介類がふんだんに使われる。また長い間自給自足せざるを得なかったため、ナマズ、アメリカザリガニ、カエルといった土着の食材もよく使われ、食事文化も楽しめる。

2012年 チューリッヒクラシック