ブライソン・デシャンボーが3Dプリンターで製作した新アイアン使用
我々(GolfWRX)がブライソン・デシャンボーの姿を最後に目撃したのは、10月のプロフェッショナル・ロング・ドライバーズ主催の「ワールドチャンピオンシップ・ドラコン選手権(世界ドラコン選手権)」になる。そこでは見事な躍進を遂げていた。デシャンボーは「ライダーカップ」以降、伝統的な大会には出場しておらず、感謝祭の翌日(11月26日)に行われるブルックス・ケプカとの対決と12月開催の「ヒーローワールドチャレンジ」の前は、競技ゴルフに出場する予定を立てていない。
しかし、デシャンボーはこの“休止”期間中も忙しく過ごしている。ドラコン選手権を終えて、その後の空き時間を利用してさらに飛距離を伸ばすつもりだという。そして、前週初めには、自身のYouTubeチャンネルに、“僕の新しいプロトタイプ コブラアイアン”と題した動画を投稿した。
当然ながら、好奇心をそそられた。デシャンボーはドライバーとウッド、ウェッジにはこのところ様々な調整を行ってきたが、その間、アイアンに関しては、自身も設計に携わった2016年のコブラ キング フォージドワンレングス アイアンを使用し続けてきたのである。
そして、この新しいアイアンはデシャンボー専用に微調整が施されたコブラ MiMツアーワンレングスの3Dプリンター製造バージョンであり、デシャンボーがすぐにも実戦投入されるかもしれないと明かしたことで、さらに好奇心はくすぐられた。
デシャンボーがピッチングウェッジで打った最初の一打のボール初速は、時速138マイル(60.8m/s)だった。参考までに記しておくと、PGAツアープロの4番アイアンの平均ボール初速は、時速137マイル(61.2m/s)である。トラックマンによると、ピッチングウェッジの平均は時速100マイル(44.7m/s)を少し超えた程度という。動画の後半で、デシャンボーは6番アイアンでキャリー245ydを計測した。
というわけで、彼は新しいアイアンで、何の問題もなくかっ飛ばしているのだ。
試打の間、デシャンボーは自身が生み出しているボール初速とスピン量にどれだけ感銘を受けているかについて指摘した。コブラはテクノロジーの仕様やクラブの外見については沈黙を貫いているが、YouTube動画にクラブヘッドがうっかり映り込むなか、コブラのベン・ショーミンはクラブについて、「上級者向けの薄くて丸みのあるトップラインで、ソール幅は小~中程度、そして丸みのあるソールキャンバー」と説明している。デシャンボーはアイアンに関しては、シンプルな形状で、リーディングエッジのバウンスが大きく、ホーゼルに幾らかのオフセットのあるクラブを好むと、ショーミンは述べている。
興味深いことに、デシャンボーとコブラによると、このプロトタイプのアイアンは(アイアン製造における2つの従来的な製造方法である鋳造でも鍛造でもなく)3Dプリンターで製造されているのである。ショーミンは、これまでデシャンボーの4番と5番アイアンは常に3Dプリントされてきたが、それ以外の番手はそうではなかったと述べた。
ショーミンによると、3Dプリント技術は鋳造クラブと同様のパフォーマンスが得られつつ、他のクラブ製造方法より迅速で一貫性のあるプロトタイプ製造が可能になるという。これに加え、“打感のレプリケーション”が断然容易になる。この完全に3Dプリントされたクラブは、ここ数年で数モデルをプリントし、微調整を加え、形状、ソール幅、フェースの厚み、そしてバウンスを調整してきたなかで製造されたクラブの最新版なのである。
デシャンボーをアイアンの分野で成功者足らしめる上で、これまで長いプロセスを経てきた。ショーミンによると、コブラのエンジニアは「ここ5年で少なくとも1ダースのセットを作り、様々な改良を行ってきた」という。
デシャンボーは過去5年間、自身の使用してきたアイアンで矛盾した結果を残してきた。200yd以上の精度ではツアーでも最高の選手の一人にランクされてきたが、125yd以内ではかなり苦しんできたのである。
デシャンボーは今回のアイアンについて、くだんのYouTube動画の締めくくりで、「すぐにでもバッグに入れる。スピン量の調整のため、ロフトを少しばかりいじるけれど」と述べ、このプロトタイプアイアンを「ボーラー(ナイスショット製造機)」と表現している。
このプロトタイプのテクノロジーに関する詳細、そしてこれが一般販売されるかどうかについては、今後のお楽しみということになる。
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)