PGAツアーで「長尺ドライバー」は定着するのか?
“ブライソン・デシャンボー効果”は本物である。PGAツアーの選手たちは、時速5、10、あるいは15マイル(6.7m/s)の初速アップを実現させている。選手たちはジムへと通い、用具を変えて350ydの壁を超えようとしている。
デシャンボーが48インチのドライバーをテストし、場合によっては実戦投入の可能性もあるという話を我々が耳にしたのは、わずか数週間前のことだった。ピンとこない人のために言っておくが、ツアーで使用されるドライバーの長さは43.5インチ(リッキー・ファウラー)から、ツアー標準の45インチ前後となっている。
では、長いクラブの利点はというと、話は単純である。尺が長ければ、ヘッドはより加速する時間を得ることができ、より遠くまでかっ飛ばせるのだ。
それでは、何が欠点なのか? それは正確性だ。
確かに遠くまで飛ぶが、瞬く間にラインから外れることもあり得るのである。先程の尺の例えを用いるならば、長いということは、間違ったプレーンで降りてくれば、それは間違った方向へより長く飛んでしまうということなのである。これこそ、ドラコン競技で50インチ近くあるシャフトを目にし、さらに大多数のドライブがターゲットとは程遠い場所へ飛んで行く光景を目にする理由である。
ドラコンのもう一つの側面もある。こうしたクラブを振る連中は、ジャスティン・トーマスのような外見の持ち主ではなく、どちらかといえばアメリカンフットボールのラインマン(編注:ラグビーでいうところのフォワード、つまりは屈強なガタイの持ち主)のような見てくれをしている。4フィート(約1.2m)以上のドライバーで、時速140マイル(約62.6m/s)以上のヘッドスピードを生み出しつつコントロールするには、相当なパワーを要するのである。
とはいっても、デシャンボーの競争相手たちは、同じ船に便乗しようと周りをうろつくか、あるいは乗船しないまでも、(用具メーカーの)PGAツアー担当レップに長尺ドライバーをあつらえるリクエストをしている。
果たしてこのトレンドは定着するのだろうか?我々はそうは思わない。オーガスタナショナル(あるいはカパルア=編注:セントリートーナメントofチャンピオンズ会場)のようなコースは、ツアーの平均的なコースに比べて、ドライバーのミスショットをそこまで罰打につながらないので、いくらかは理にかなっているといえるかもしれない。しかし、PGAツアーの全体的なスケジュールということになると、長尺ドライバーの使用は、ほとんど道理にかなっていないからだ。
確かに、飛距離はアドバンテージだ。毎年、ストローク・ゲインドのスタッツがこれを実証しているものの、どこかの時点で選手はリターンの先細りに到達することになる。飛距離360ydに比べて、375yd飛ばすことには人が想像するほど壮大な旨味はないのである。
とはいえ、もちろん見る側としては面白いことに間違いはない。
以下は、長尺ドライバーへ移行した、あるいはテストしている有力選手たちである。
ブライソン・デシャンボー: 48インチ LAゴルフ リバープロト 60
-弾道計測データや時速200マイル超えの初速を想像するのは自由だが、オーガスタで実戦投入される可能性は低かった。
フィル・ミケルソン: 47.5インチ KBS TD 60 C5 TX
-ミケルソンはすでに何週間もこれをテストしている。ボール初速は180マイル台中盤に達し、飛距離はキャリーで310~315ydとなっている。オーガスタで実戦投入が予定された。
ビクトル・ホブラン: 47及び48インチ プロジェクトX RDX 60G 6.5
-完全にシーズンオフの試打専用。
アダム・スコット: 46インチ 藤倉コンポジット ベンタス レッド 6 X
-「ヒューストンオープン」にて平均飛距離トップの326.4ydを記録。
ディラン・フリッテリ: 46インチ 三菱ケミカル テンセイ CK プロホワイト 60 TX
ビジェイ・シン: テスト中(詳細不明)
ダスティン・ジョンソン: テスト中(詳細不明)
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)