2014年 ドイツバンク選手権

ターフトーク(コース情報):TPCボストン

2014/08/27 13:34
TPCボストンで練習ラウンドを開始した石川遼

トム・ブローダーにとって、ここ数年ハリケーンや熱波に苦しめられたことを考えれば、比較的ストレスも少ない夏となり、年に1度のPGAツアー大会をレイバー・デイ(労働者の日)に開催できるのは嬉しいことなのだろう。彼の話では、多少なりとも雨量を気にしなければならなかったとしても問題ないそうだ。

「どのゴルフコースのメンテナンス担当にとっても、雨量との戦いは日常茶飯事」。こう語るブローダーは、TPCボストンが作られた2002年からメンテナンスを担当している。「もっと過酷な夏を経験しているから、今年はなんてことない」。

週末には雷を伴う嵐が起こる可能性もあるが、ボストンとプロビデンスの間にあるカントリーサイドは避けていくと予想される為、今週の「ドイツバンク選手権」は、近年稀に見るほど固く、速いコンディションでの戦いになるだろう。

ブローダーは、「状態は良い。いつでもウェットよりはドライの方が良いからね。今年はドライなコンディションが続いている。雨が少ないからね」と語った。

コースのある地域で今年5月と6月に降った雨量は64ミリ以下。例年と比べ25ミリ以上少ない。7月は平年並の90ミリ程度降ったが、8月の雨量は38ミリに減少した。

TPCボストンは、101ヘクタールもの湿地帯の真ん中に設置されていて、地下の井戸に貯水している。その井戸はコース外にある3つの貯水池に繋がっており、貯水池は他の施設よりも高いところに作られている。そのため、雨水は再び湿地帯に戻ってくるようになっている。

ブローダーは、「貯水池に唯一再供給できるのは、井戸水だけだ。これらの井戸水は、すぐに利用できるだけの水を作り出せないので、夏の始まりの時期から少しずつ使うようにしている。だから我々には、『夏中ドライにするわけにはいかない』と言えるほどの余裕がない。最初はごく少量だけ使用すれば、夏の終わりにも使う余裕が生まれる」と語る。

TPCボストンのグリーンとフェアウェイはベント芝で、ラフには細く長いフェスキューが生い茂っているが、ドライコンディションには耐えられる。興味深いことに、試練となるのはカートが通るエリア周辺だ。

「ドライなエリアを4輪のカートで通ると、水分不足に直面させられる。干ばつ地帯の上を走ると地中の水分が押し出されるから、茶色い轍が残るんだ」と、ブローダーが説明してくれた。

補助的に水をまくことで問題となるエリアのダメージを抑えることも出来る。気温が上がり過ぎなかったことも事前準備を助けたが、火曜日と水曜日は26度前後にまで気温が上がると予想されている。

ブローダーは、「気温が21度前後から32度前後になると、コースも気まぐれな状態になる。でも、多少はドライなコースの方が皆プレーしやすいんじゃないかな。これまでは許容できる範囲での乾燥状態に抑えてきた。時々、我々が望むよりも乾燥が激しかったけど、ここ最近の(比較的低温な)気候で、すべては順調に回復しているよ」と語った。

2014年 ドイツバンク選手権