スティールとキャディにとってトーレパインズは特別な場所
By Helen Ross, PGATOUR.COM
ブレンダン・スティールのキャディにまつわるエピソードは深みを増すばかりだ。
1週間前の「ヒュマナチャレンジ クリントンファウンデーション」では、スティールの大学時代のチームメイトで現在はLAPD(ロス市警)に勤務する友人が、スティールのバッグを担いだ。スティールのレギュラーキャディはニュージーランド出身の人物だが、就労ビザの交付で問題を抱えていた。オートバイの事故で手首を痛め、ピンクのギプスをはめながらも、大学時代の仲間はスティールのキャディ役を務めあげた。
そして今週の「ファーマーズインシュランスオープン」では、グレッグ・ウェルズ氏がスティールのキャディを務めることとなりそうだ。ウェルズ氏はスティールのファイナンシャル・アドバイザーという間柄に留まらず、ジュニア時代からスティールのことを良く知る人物である。さらにスティールは、実際にウェルズ氏と彼の妻・アリの結婚式で司会役を引き受けたことがあった。
おっと。彼らのウェディングがトーレパインズの南コースの芝の上で行われたことは、まだ話していなかったね。
ライバル大学のUCサンタバーバラ校とUCリバーデール校のゴルフ部だったウェルズ氏とスティールのふたりは、お互い認め合う存在でカナディアン・ツアーを共に戦った仲だ。かつては18ホールが“職場”だったウェルズ氏は現在、四方を壁で覆われたオフィスで勤務しているが、今でもふたりはベストボール方式の「Straight Down in San Luis Obispo」でタッグを組むパートナーで、2011年の大会では優勝も飾っている。
ともあれスティールは、一体どうして彼らの結婚式の司会を務めることになったのだろう。それは数年前のことだった。ウェルズと彼の将来の花嫁は、とあるハロウィン・パーティで長身のカリフォルニア人に接近した。
「私たちはみな、バカみたいな仮装で集まったんだ」と、スティールはあの日を振り返った。「(やがてふたりがやって来ると)彼らは“お願い”があるんだと、言いだしたんだ。“私たちの結婚式に参加してもらえない?”と誘われるのかな、と思っていたら、まさかの彼らはこう言ったんだ。“私たちはよくよく考えた上でお願いをします。私たちの結婚式の、司会役をしてもらえませんか?」ってね。
スティールの最初のリアクションは?
「えっ、何を言ってるんだ?」って言い返したよ。完全にからかわれたと思って腹を抱えて笑ったよ。
しかしスティールは、ふたりの真剣な表情に気づいた。やがて彼は、オンライン上で必要事項をすべて申請し、24時間だけの聖職を勤め上げたのだ。
「とっても面白い経験だったね」と、スティールは語った。「あんなにナーバスな気持ちになったことはなかったよ」。
2010年の秋に行われた彼らの挙式は、スティールにとって吉兆となった。式から2週間後、スティールは下部ツアーで現在の「ウェブドットコムツアー選手権」でプレーオフの末にコルト・ノストを下して優勝し、賞金ランクを30位から6位に浮上させると、翌年のツアー出場権を獲得したのだった。
ひょっとすると今週、ふたりはトーレパインズで再びマジックを起こすかもしれない。
「彼はきっとナーバスになるだろうね。でもとても興奮すると思うよ」と、スティール。「彼はキャディの経験はそれほどないけれど、とても素晴らしいゴルファーだ。プロとしての経験もあるし、僕のプレーを熟知している。だから彼からいい影響を受けてプレーできると思うよ」。