ノーザントラストオープン初日 レビュー
3週間の休み明けにも関わらず、マット・クーチャーのゴルフ感は錆びていなかった。
スタートホールから3フィート以内のバーディパットを3連続で決めたクーチャーは、ショットもパットも冴えを見せた。7アンダーの通算「64」で、ノーザントラストオープン初日を終えた。
セルヒオ・ガルシアは「65」。去夏に首を痛めたブラント・ジョーブは見事ケガから復帰を果たした。UCLA時代(学生時代)に数多くラウンドした経験と記憶を蘇らせ、終盤に4連続バーディを奪った。18番でボギーを叩いたが、通算「66」の成績は見事だ。
これほどまでにコンディションの整ったリビエラは珍しい。手入れの行き届いた芝生。快晴の空。全てがパーフェクトな昼下がりは、まるで休暇のひとときを過ごしているかのようだった。クーチャーは後に、全てを理解することとなるのだが。
米国ツアーに3週連続で参加したクーチャーは、2度のトップ10入りの後、家族を連れたってパームスプリングとハワイでしばしの休暇を過ごした。パドルボートにシュノーケリング、芝から離れてレジャーを楽しんだ。
彼の職場ともいえる芝生に戻ると、クーチャーはスイングコーチのクリス・オコネルと共に、休暇前と同じように練習に励んだ。
「(ある週の)月曜だったと思う。突然プレーしたい!って感じてね。それからロサンゼルスカントリークラブの北コースをラウンドした。その時はどういう訳か、ボールを打つ度に興奮を覚えた。今日のいいスタートは、明日以降がもっと素晴らしくなる予兆だといいね」とクーチャーは語った。
馴染みのコースは顔見知りも多く、クーチャーにとっては絶好のゴルフ日和となった。
先週、「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」にて54ホール終了時点で首位タイを走っていた31歳の新人、ジェームズ・ハーンとデビッド・リンは揃って「67」。リー・ウェストウッドと2度の優勝経験をもつフレッド・カプルスらが「68」で続く。リビエラでのプレーは、カプルスを若返らせいるようだ。
カプルスは2日間のエキシビジョンマッチと合わせて、昨年末のチャンピオンズツアー最終戦、そして今シーズンの開幕戦に出場。その間、いつものように十分な練習時間を確保出来なかった。
「驚いたね。(練習が少なくても)コースでいかに対応すれば良いのか身体が順応したからね」とカプルスは話した。
カプルスは、最も距離のある17番ホール(パー5)では同組のウェストウッドとバッバ・ワトソンのドライバーに遜色ないほど、力強くボールを捉えていた。今日は3バーディを取ったものの、終日出入りの激しいゴルフだった。
一方でワトソンには、運がなかった。
「マスターズ」優勝経験もある名手ワトソンは、2010年「ホンダクラシック」2日目で「73」を記録して以来、ここ3年間で初めてとなる、バーディなしの「76」で終えた。
フィル・ミケルソンは、2週間前に「フェニックスオープン」で記録したパフォーマンスを再現しようと躍起になっていた。リビエラの小さなグリーンを捉えるには、フェアウェイ・キープは不可欠だ。しかしミケルソンは、11番ホールまでフェアウェイをキープすることができなかった。いくら成績が「71」と及第点であったとしても、納得いかなかったのだろうか。彼はただひとり、ミックスゾーンを通ってコースへ戻った。
「(イーブンパーだが)ちいさな勝利さ」とフィルは言っていたが。
ジョーブの回復は驚異的である。彼は去年コングレッショナルCCで開催された「AT&Tナショナル」以降、首を圧迫する神経系のケガでクラブを握ることができなかった。6ヶ月の休養とリハビリをして「ファーマーズ・インシュランス」では予選落ちしたが、この日のリビエラでは6バーディ。
ジョーブは医療免除レギュレーションにより、今シーズン、残りの10大会で$303,178を稼がないと、現状のツアー参加資格を維持することができない。
「ここ(PGAの舞台)にいたいから、ずっと練習しているよ。ラウンドが限られていようともね。いいスタートが切れたし、日常生活も問題なく過ごせている。実際、ゴルフの調子が最悪の日が来たとしても、今は納得できる。それで世界が終わるわけじゃないから」と言った。