2019年 全米プロゴルフ選手権

ウッズのクラブ遍歴を振り返る

2019/05/19 05:15
予選落ちに終わったが、大ギャラリーを呼び込んだのはウッズ

タイガー・ウッズは、その成績だけでなく使用するクラブにも注目が注がれてきた。現在はテーラーメイドと契約するが、ナイキのイメージを持つ人も多いだろう。どのような遍歴をたどってきたのか?米ツアー取材歴21年のカメラマン・田辺安啓(JJ田辺)氏が解説する。

「全米アマ」を3連覇して知名度が高まってきた学生時代のウッズは、クラウン部分に凹みのある形状で当時人気を博したキングコブラのドライバーを愛用。アイアンはミズノ製のものを使用した。

タイガーの使用クラブにはいつも注目が集まる(※撮影は今年1月)

1996年のプロ転向後、タイトリストと総合契約した。アイアンはアマチュア時代に使用していたミズノにそっくりなブレードアイアンを、プロトタイプとしてタイトリストが製作した。ウッズ本人はそのアイアンを“ミズムーズ”と呼んでいたらしい。

1998年からゴルフ用品事業に参入したナイキが、ボールの製造を開始。ウッズは2000年、ナイキのボールを使い始めた。その後数年かけて、クラブもナイキ製に移行した。

パターだけはスコッティキャメロンを愛用し続けたが、2010年からナイキのメソッドというモデルを使うようになる。09年の暮れに愛人スキャンダルが明るみに出た際、それまでいくつもあったウッズのスポンサーはどんどん離れたが、ナイキは関係を断ち切らなかった。そんなナイキとウッズの蜜月時代は永久に続くのではないかと思われた。しかし、終わりは突然、訪れた。

2016年8月、ウッズとともに歴史を刻んできたナイキがゴルフ用品事業からの撤退を発表。同社のクラブやボールを使用する選手は、半ば強制的に別メーカーへ移行せざるを得ない状況になった。ウッズをはじめ、今大会で首位を独走するブルックス・ケプカ、優勝争いの常連となったトミー・フリートウッドらだ。ウッズは17年にドライバーをテーラーメイドに切り替えた。1年後には、テーラーメイドがウッズモデルのアイアン「フェーズ1」を作り、5月から試合で使用するようになった。

ウッズのクラブを削り続けたテーラー氏

ところで、ナイキ時代にウッズら契約選手のアイアンの削りを一手に引き受けていたマイク・テーラーという人物がいる。もともとはベンホーガン・ゴルフの技術者だったが、紆余曲折を経て2001年から正式にナイキのテクニシャン(技師)となった。以降、アイアンやドライバーの開発に設計段階から携わり、調整も行ってきた。

ウッズのクラブのことは誰よりも知っている人物だ。テーラー氏はナイキがゴルフ事業撤退を発表した後も半年間、変わらずに選手のサポート業務を続け、2018年2月に『アーティザンゴルフ』というブランドを自ら立ち上げた。まだウェッジとパターしかないブランドなのだが、ウッズと契約したテーラーメイドのクラブ開発チームから要請を受け、アドバイザーとして参画している。

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