56歳の“怪人”シン 最年長優勝記録を54年ぶりに更新か
◇米国男子◇ザ・ホンダクラシック 3日目(2日)◇PGAナショナル (フロリダ州)◇7125yd(パー70)
56歳のビジェイ・シン(フィジー)が、首位と1打差の2位につけた。08年「ドイツバンク選手権」以来となるツアー通算35勝目を挙げると、サム・スニードのツアー最年長優勝記録(1965年/52歳10カ月8日)を54年ぶりに更新する。
難関3ホールから成るベア・トラップ。最初の15番(パー3)で、シンは7Iで2mにつけるバーディを奪った。左にこぼした最高難度の17番(パー3)は、1mに寄せる小技に「自信があった」という。ここ10年余り苦悩を続けたパッティングは、2週間前から長尺パターに変更し「感覚がすごく良くなった」と27パット。この日ベストスコアの「65」で回り、32位から浮上した。
“フィジーの怪人”は、かつてツアーで最も練習量が多いと言われていた。米ツアー職員は「みんなで『彼はいつ帰るんだ』と言っていたことがある」と回想する。30歳での米ツアー参戦後、フロリダ州ジャクソンビルに拠点を置いた理由は「練習環境が一番、整っているから」。41歳にしてタイガー・ウッズを抜き世界ランク1位になった所以だ。だからこそ、若手に向けて助言を求められれば、「いま、子どもたちはあんまり練習をしないよ。自分がしていることを信じて、ひたすら打ち込むことだ」と厳しく指摘する。
首位のウィンダム・クラークは25歳。米ツアーにおける50代での優勝は過去7人。ふた回り以上、年下の選手との争いに「ハードワークだよ。あしたは、カートに乗せてもらおうかな」と珍しくおどけた。ただ「肉体的には優勝するチャンスはあるはずだ。新たなパターで、新たな週を迎えている。あしたは新たな一日だ」と独特の言い回しで、気を引き締めた。(フロリダ州パームビーチガーデンズ/林洋平)