石川遼は今季ワースト「81」 終盤にはスーパーショットも
◇米国男子◇バルスパー選手権 最終日(12日)◇イニスブルックリゾート&GCカッパーヘッドC(フロリダ州)◇7340yd(パー71)
バーディを1つも奪えず、今季ワーストの10オーバー「81」。石川遼は通算12オーバーで予選通過の69人中(棄権1人)最下位となる69位で大会を終えた。
結果だけを見ればポジティブな要素は見当たらない。それでも、優勝争いにはほど遠い54位からスタートし、順位を気にせず改造中のスイングの実戦テストが行えたことに、意味がなかったわけではない。
前日、ホールアウト後の練習で気付いたのは、アドレス時の球との距離だ。これまでよりも少し離れて立つことで、「体の動きが良くなった」と実感した。それを実践したこの日のラウンド。「練習場では気持ち良く打てていたけど、コースに出ると球に当てにいっていた。結果的にショットは乱れたけど、原因は100%分かっている」と、ある意味では納得の「81」だった。
今年から取り組んでいる“フェースローテーションを少なくして、インパクトを安定させる”スイング改造。「それをちょっとやり過ぎて、上体の力だけでフェースをコントロールして、飛距離が出ないところがある」というのが最近の課題。その克服をしようと「もっと体を動かして、体の回転で打っていく」ことに取り組み始めた。「それを1打でも多くできるように、最後までトライして、トライして、という感じだった」と振り返った。
それでも、見せ場を作ることも忘れなかった。3打目を左の林に打ち込んだ16番は、球の後ろに木がかかり、ピン方向に真っ直ぐ打つにはテークバックが取れない状態。「横にチョンと出すしかないかなとも思ったけど、思い切り行ってみようと思った」と、ピンに背中を向ける形で「100ydくらい右」を狙い、9Iで大きく左に曲がるフックボールに挑戦した。
ショットを見守ったギャラリーの「ターン!(曲がれ!)」という叫び声に応えるように、大きな弧を描いた白球は、グリーン手前の花道に着弾した。大きな拍手に、思わず両手を挙げてガッツポーズ。「久々にうれしいっす。ああいう1打で沸いてくれると。スコアが悪いから適当にやるというのではなく、ベストを尽くせた1打だった」と笑顔を見せた。
今週はわずか4ポイントしか上積みできなかったが、次戦となる2週間後の「プエルトリコオープン」は、2012年に2位に入ったこともある大事な試合。「自分でもそう思っています。モチベーションは高く持てているので、良い準備をして、あとは練習あるのみだと思う」と、静かに意気込んだ。(フロリダ州パームハーバー/今岡涼太)