15カ月ぶり復帰のウッズ リハビリ中の恐怖も告白
◇米国男子◇ヒーローワールドチャレンジ 事前(29日)◇アルバニーGC(バハマ)◇7302yd(パー72)
1年前、タイガー・ウッズは自身がホストを務める大会の公式記者会見で、背中のケガからの復帰時期について明言することができなかった。だが、今年は15カ月ぶりのツアー復帰を2日後に控えての会見となった。「ここに戻って来られてうれしいよ」と微笑んだウッズ。その表情には喜びと不安が入り混じっているように見えた。
「1年前は、ベッドから1人で起き上がることができなかった。どうやって、ゴルフクラブを120マイル/時(約53.6m/秒)で振ることを考えられるんだい?とても、とても辛い時期だった」とウッズは言う。「ひざを壊したときは9カ月掛かると分かっていたけど、復帰できることも分かっていた。でも脊柱、そして神経の場合はまったく違う。症状には個人差があるし、キャリアが終わりになる可能性もある。恐怖もあったし、何度もそう(もう戻れないのではと)考えた。それが現実的だったから」と打ち明けた。
キャリア最長となる15カ月のブランクを挟んだが、その間にやり遂げたことも少なくない。今年10月には自身のさまざまな活動を統合するブランド「TGR」を立ち上げた。「人生の第2フェーズの準備が整った。いつまでもトップレベルでプレーできるわけではないからね。その意味では肩の荷が下りたし、まだ戦えるうちに自分のゴルフにより多くの時間を捧げることも可能になった」と前を向いた。
もし良いスコアでプレーできなくても、今週は成功だと考えられるか?と問われたウッズは、「そうだね、またプレーできているのだから」と応じた。「自分の周囲にいる人々、トレーナーや友人や家族は、ここまで来ることがどれだけ大変だったかを知っている。でもいま、自分はここにいるんだよ」。
それでも、試合に臨む精神状態に変わりはないという。「いつもやっていることと同じで、試合に出るからには勝利を目指す。バッバが去年25アンダーを出したのを知っているけど、長らくプレーしていないからそれはちょっと難しいかもしれない。でも、ベストを尽くす。肉体も、ゴルフクラブも、練習スケジュールも、トレーニングも変わったけど、戦いに臨む気持ちだけは変わらない。みんなをやっつけるだけだ」と明言した。
アドレナリンが出た状態でのショットの距離感を懸念点に挙げたウッズだが、「練習場から始まって、ホームコース、トーナメントセッティング、最終日のバックナイン…。勝利は進化の過程なんだ。現時点ではまだ戦ってもいないから、その入り口にいる状態だ」と、来るべき初日、そして週末を冷静に見据えていた。(バハマ・アルバニー/今岡涼太)