松山英樹、紙一重で決勝進めず 次戦マスターズへ「良い傾向」
勝負の明暗は紙一重だった。テキサス州のオースティンCCで行われた「WGCデルマッチプレー」の3日目、松山英樹は3&2でケビン・キスナーを下して通算2ポイントを獲得したが、同グループのラファ・カブラレベロー(スペイン)がソレン・ケルドセン(デンマーク)と引き分けて通算2.5ポイントとしたため、決勝トーナメント進出はならなかった。
自身のマッチ終了後、プレーオフに備えて練習場へと移動した松山に果報は届かなかった。17番を終えてケルドセンが1アップでリード。そのまま終われば、カブレラベローと松山のプレーオフとなるはずだったが、最終18番で1オンに成功したカブレラベローがバーディを奪って土壇場で引き分けに持ち込み、貴重な0.5ポイントを獲得した。
3日目の対戦相手、キスナーは現在フェデックスカップランキング2位につける好調な選手。「お互い、ミスは最小限に抑えられていた」と、7番までは互いにリードを奪えない均衡したプレーが続いた。
だが、8番でキスナーがティショットのミスからボギーとして、松山がこの日初めて奪うと、10番、12番(パー5)、13番と松山が立て続けにバーディを奪って4アップへ。一気に流れを引き寄せると、16番でマッチを決めた。勢いと高い集中力が感じられただけに、決勝へ残れなかった悔しさも小さくはなかったはずだ。
だが、結果が判明してからも、しばらく練習場で球を打ち込んだ松山の気持ちは、すでに“次”へと切り替わっていた。「初日に負けた時点でそんなに望む方がおかしいし、自分のやれることをやってきた」。そう、次戦は2週間後に迫った今季メジャー初戦の「マスターズ」だ。
「この2週間で良いものも見つかったし、あとはどうやって調整していくか。練習では良いけど、試合になったら打てなかったり…。でも、練習のときの感じが、今までとちょっとずつ変わってきている。良い傾向かなと思う」
夢舞台オーガスタの前哨戦は、これで最後。マスターズへの手応えを問うと「ないです」と言って、すぐに「今のところは」と付け足した。次週、オフの一週間が勝負になる。今季初勝利を飾った「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」の前週も予選落ちに終わっている。早めの休みも、決して悪いことばかりではない。(テキサス州オースティン/今岡涼太)