2016年 ザ・ホンダクラシック

新ルールに勝ったスコット ショートパターで5年ぶりV

2016/02/29 10:41
その手にはショートパター。アダム・スコットが2季ぶりの勝利を飾った

フロリダ州のPGAナショナルで行われた「ザ・ホンダクラシック」。アダム・スコット(35、オーストラリア)がセルヒオ・ガルシア(36、スペイン)との最終日最終組対決を制して、2014年シーズン以来となる米ツアー通算12勝目を飾った。

出だしの1番でバーディ発進を決め、ガルシアとのマッチレースを優勢に進めたスコット。最後は18番(パー5)で60cmのウィニングパットを沈め、安堵感たっぷりに勝利の味をかみ締めた。

クラブの一部を上半身などに固定する打ち方「アンカリング」の規制。2012年末の発表から約3年の猶予期間を経て、今年1月に新ルールは施行された。スコットは、キーガン・ブラッドリーウェブ・シンプソンらとともに、この打法で長中尺パターを操り、メジャータイトル(2013年マスターズ)を獲得した選手の代表格だった。

昨年はゼロ勝どころか、フェデックスカップポイントランクで106位に沈み、全4戦のプレーオフの初戦で姿を消した。レギュラーサイズのパターでの勝利は、2010年11月の欧州ツアー「バークレイズ・シンガポールオープン」が最後。不振の原因を世間にパッティングと決めつけられながらも、昨秋に長尺パターを手放し、努力を重ねてきた。

グリップは同じオーストラリア出身選手、ブレット・ラムフォードから約1年前にヒントを得たものだという。周囲の不安を一掃するこの勝利に「その話題が好きな人たちはもちろん、僕にとってももちろん良かった。もうそれほど大きく取りざたされることもないだろうからね」とニンマリ。「もちろん大きな自信になる」と続けた。

昨年2月に第一子となる長女が誕生。エースキャディのスティーブ・ウィリアムスは試合を限定してコンビを組むことになった。新しい家族、新しい相棒、そして新しいパター。「この1年は本当にいろんなことが過渡期にあった。また新しい1年が楽しみになった」

たゆまぬ努力を証明し「今年に入った時点ではちっとも自信がなかったんだ。でもここ数週で突然感触が良くなった。そうなるときのために、しっかりと準備をしておくべきなんだ」と振り返った。「10年前の僕は今よりも賢く鍛錬していなかった。正直に言えば、今よりもずっと一生懸命じゃなかった。10年前、大きな試合で成功できなかったのは、ただ一生懸命に鍛錬していなかったからなんだと思う」。過去を謙虚に受け止め、進化の道を歩んでいる。

次週の「WGCキャデラック選手権」を含め3月には世界選手権シリーズ2試合を戦い、4月のメジャー初戦「マスターズ」を迎える。「これから大きな試合が続く。ピークが早すぎた、なんてことがないといいんだけどね」。ツアーに旋風を吹かせ続ける若手に“待った”をかける存在として、もちろん申し分ない。(フロリダ州パームビーチガーデンズ/桂川洋一)

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