松山英樹は珍しく自信の言葉 “2度目”の聖地「あこがれは…ない」
スコットランド東部、北海を望むセントアンドリュースに、松山英樹が初めて足を踏み入れたのは2013年。プロ転向1年目の夏だった。破竹の勢いで日本ツアーの賞金レースを引っ張り、米ツアーのシード獲得を目指して奔走していた同年7月。ミュアフィールドでの「全英オープン」に出場する直前、松山はゴルフの聖地まで足を延ばし、進藤大典キャディらとプライベートラウンドを楽しんだ。
あれから2年。自身3度目の出場となった全英が、ゴルフコースとして最古の歴史を持つ当地が舞台になった。伝統と威厳を誇示する大会側の演出にも「あこがれは…1回まわればなくなりますよ」と、つれない。ただ「(ギャラリーが集結する)1番、2番、17番、18番は雰囲気がある。こういうホールでいいプレーができたらいい」と、メジャーの空気で様変わりしたコースにニヤリとした。
メジャー初制覇はまず、ショットの出来が左右しそうだ。「バンカーに入れず、グリーン周りのプレーをしっかりできれば、いいスコアで上がれる。風が吹かなかったらスコアは出やすいが、ミスをすればどんどん叩いてしまう。1回で脱出できないバンカーもある」。人の身長ほどの深さを持つものを含め、全部で112あるバンカーを徹底して避ける。前週土曜日から、最近では異例といえる72ホール(18ホール×4日)にも及ぶ練習ラウンドで、確信した。
開幕前日の15日(水)のラウンドでは、2つしかないパー3をのぞき、1番と10番で3W、12番で4I、16番で2UTを握った以外はすべて1Wでティショットを放った。連日の雨で芝の育成が進み、例年よりもボールが転がらない。「きょうくらいの風だったら、転がして攻める必要もない。みんな高い球で攻めてくると思う」。全英には珍しく“空中戦”の勝負となるという見方もある。
6月の「全米オープン」を18位で終えた後、3週連続で試合を休んで今大会に備えた。松山にとっては、今年に入って最も長いオフ。「最後の方にやっといい感じでショットが打てるようになってきた」という。
それだけではない。「まだ納得のいく感じではないが、オーガスタ(4月のマスターズ)が終わってから、迷っていた部分が徐々に良くなっている中で、今が一番フィーリングがいいかなと思う」。あくまでショットに関してだが、珍しく言葉に自信がこもった。
その大きな手と、クラレットジャグとの距離。日々、縮まっていると言っていいはずだ。(スコットランド・セントアンドリュース/桂川洋一)