松山英樹「イライラせずに」上がり5ホールで挽回
2014年の海外メジャー第2戦「全米オープン」が12日(木)、ノースカロライナ州のパインハーストNo.2で開幕。日本の松山英樹は4バーディ、3ボギーの「69」で回り、1アンダーとして首位のマーティン・カイマー(ドイツ)に4打差の6位タイと上々の位置で滑り出した。
日本人史上初のメジャー制覇。2週前に米ツアー初勝利を遂げ、その夢にいよいよ現実味を加えた松山の初日、ラウンド中に“らしさ”を存分に披露した。
前半インをイーブンとして折り返し、直後の1番、2番はいずれもフェアウェイから第2打を放ちながらパーオンに失敗し、連続ボギー。中央部分の盛り上がった硬いグリーンは、「ミスじゃないけれど、良いショットでもない」というボールでは止まり切らない。ただ、それは、他の選手も同じだ。
真骨頂は、後退を取り戻した上がり5ホール。最も警戒していた5番(パー5)で、残り217ヤードを3番アイアンで2オンに成功し2パットバーディ。続く6番(パー3)では5番アイアンで奥4メートルにつけ、下りのラインに優しく乗せて2連続とした。ドライバー、7番アイアンとつないだ8番では2.5メートルのバーディチャンスを確実に決め、怒涛の巻き返しでアンダーパーフィニッシュを決めた。
スコア上では終盤に復調したようではあるが、我慢を続ける姿勢に変化があったわけではない。「何かを切り替えたつもりはなかった。1ホール、1ホールを消化していくだけだった」。
パーオン率61.11%はと平均(全体58.23%)を少し上回った程度。だからこそ、このスコアと順位に導いたショートゲームの出来が光った。「グリーンは硬いところと軟らかいところがホールによってバラバラ。それにイライラせずにやっていけたのが良かった」と自ら忍耐力に胸を張った。ジョーダン・スピース、リッキー・ファウラーといった地元米国の超人気選手と同組とされた期待に存分に応えた。
ラウンド後半に肩回りを気にするシーンもあったが「寝れば治るくらいのもの。普通に打てるし」と一笑に付した。得意の「我慢」で出遅れを回避。偉業への第1段階を鮮やかにクリアした。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)