2014年 全米オープン

“ラフ無し”全米オープン 日本選手も警戒するのはグリーン

2014/06/11 10:40
練習ラウンドを終えた谷口徹は最強難度のコースとの戦いに気を引き締めた

2014年の海外メジャー第2戦「全米オープン」は12日(木)に開幕する。今年の舞台は1999年、2005年以来3度目の開催となるパインハーストNo.2。ノースカロライナ州の名門コースは、過去大会とはコンディションが一新された。

世界一のタイトルを争う大会の名物と言えば、入れればひとたびピンチに陥る深いラフ。しかし今年はそれぞれのホール脇の砂地や雑草地帯のネイティブエリアを活かすべく、フェアウェイ並に刈り揃えられている。左右に曲げたショットは、容赦なくこの荒地へ。辿り着いたボールのライは、運を天に委ねるしかない。7,562ヤードは、2008年大会(トーレパインズGC・南コース=7,643ヤード)に次ぐ史上2番目の長さ。しかし同大会がパー71だったのに対し、今年はパー70設定となっており、超ロングコースの設定は健在だ。

今大会には米ツアーで戦う松山英樹のほか、日本勢は国内ツアーを主戦場とする3人が出場。いずれも5月末の日本地区最終予選を通過した。

前週「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」を4日間戦った谷口徹は、10日(火)に練習ラウンドを開始。「セカンドにほとんど230ヤード前後が残る。ボールが止まらないから、手前狙いで乗ったらラッキーという感じ」と、ため息交じりに話した。

しかし、このパインハーストで晩年を過ごしたドナルド・ロスが設計したコースで、最も手強いのが、お椀をひっくり返したような、中央部分が高くなっているグリーン。傾斜が激しく、精度の低いショットは転がり落ちてしまう。

「僕のゴルフの中では最強クラスの難しさ」と言うのは矢野東。「フェアウェイは広いけれど、とにかくグリーンが難しい。(ショットで狙える)大きさは実際の4分の1くらい」。さらにグリーンの外に向かって順目となっていることが「タッチが難しく、外にこぼれやすい」と顔をしかめた。それゆえ、ゲームプランは「全ホールでグリーンの真ん中狙い。真ん中に乗って6~7メートルくらいのを何発入れるかという戦い方。アプローチは基本的にはパターでやる」という。

次週、当地で「全米女子オープン」に出場する宮里藍の兄、聖志も「グリーンが分かんない。良いショットが良いショットにならないことがある。パターか9番アイアンでアプローチをする」と話した。ラフが短く、“フェアウェイ”が広いことで、ティショットが安定すればスコアが伸びる可能性もある。しかし「気持ちがどこかでスイッチが入ってしまう」と、勢いに乗り続けて冷静さを失うことを警戒。「そのスイッチが入ってはいけない。どう我慢していくか」。舞台の色合いは違えど、全米オープンははやり忍耐強さこそが求められる。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)

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