石川「楽しみ」松山「粘り強く」2人の週末は?
「ファーマーズインシュランスオープン」2日目のトーレパインズGCは、海から沸き上がってくるもやが、境目を作らずに乳白色の空に溶け込んでいく湿った1日。眼下に広がる美しい海岸線は、霞の先にぼんやりと煙っている。予選突破を目指す若き日本人選手2人の命運のように見通すことは難しかった。
初日をイーブンパーで終えた松山英樹はこの日、難しいサウスコースをラウンド。立ち上がりの10番、11番ではノースコースに比べて極端に速いグリーンスピードに戸惑った。「こっちの方が全然速くて、合わせるのに苦労した」と、パットで崩れ連続ボギー。だが、タッチを合わせるのに要したのはわずかに数ホールだった。
14番で7.5メートルを沈めると、17番でも11メートルのバーディパットをねじ込むなど、前日は「30」パット(3パット2回を含む)を献上したグリーン上を、この日は「24」パットにまで改善した。「パーセーブできているのはパットのおかげ」。
カットラインがちらつく中で迎えた最終9番(パー5)、フェアウェイからの3打目は残り128ヤード。ウェッジでグリーン右サイドに切られたピンを攻めたが、このショットはグリーン右手前のバンカーに吸い込まれ、ボギーフィニッシュとなった。「残念とも思わない。イージーなところからミスしているので、自分の状態が良くないってこと。それは受け止めているけど、パーを獲れなかったことが一番悔しい」。
予選落ち前提で呆然とホールアウトした松山は、「粘り強く頑張っていきたい」と、その時点では“仮定”の意気込みを残していたが、その後にカットラインが下がり、通算イーブンパー、66位タイで辛うじて予選通過を確定させた。
一方の石川遼は、初日にサウスをパープレーで終え、この日はノースをラウンドした。1番、2番と連続バーディで飛び出したが、4番でダブルボギー。8番、9番と連続バーディで盛り返すも、再び11番、12番で連続ボギーと、流れはアップダウンを繰り返した。だが、最終的には6バーディ2ボギー1ダブルボギーの「70」とスコアを2つ伸ばし、通算2アンダーの32位タイで週末へと駒を進めた。
「今日は易しいホールで獲って、難しいホールで落としたなという感じ。11番、12番が難しいのは分かっていたので、そこまで我慢できれば、そこから2つ、3つは伸ばせるだろうというのはあった」。
ある程度は織り込み済みということか。4番のダブルボギーはグリーン周りで2度のアプローチミスを犯した。それでも「打ち方は悪くないと思う。あとは練習と経験」と前を向く。
2試合連続で予選通過を果たした石川にとって、週末はいくつポイントを稼げるかが大きな関心事になってくる。先週は“手堅く”ポイントを稼ぎにいったが、今週はコースが違う。
「ここはフェアウェイにいかないと始まらないし、飛ばさないといけないし、セカンドは止まらないグリーンに載せなきゃいけない。1打1打に求められる精度が高いので、かなりベストを尽くしてやっていかないといけない」。
守っていては失うばかり。どれだけクオリティの高いショットを打てるかが、順位を大きく左右する。「僕としては楽しみだなと思います」。石川の自負がこぼれた。(カリフォルニア州ラ・ホヤ/今岡涼太)