【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート2013<2>】
ジャスティン・レナードとの約束がどうしても断れないとのことで、楽しみにしていた火曜日のジム・フューリックとの練習ラウンドは残念ながら無くなってしまったんです。でもフューリックが「明日なら大丈夫だよ!一緒に回ろう」って言ってくれて、水曜日に一緒に練習ラウンドが出来ることになりました。
それもね、明日はレナードも一緒なんです。フューリックもレナードも共にメジャーチャンピオンですから、試合の前日にその二人と一緒プレー出来る事は、藤田さんにとってとても大きな刺激となる事でしょう。僕自身も凄く楽しみです。
藤田さんのクラブセッティングでいつもと違うのは、ユーティリティを抜いてアイアンに変えたところ。普段は21度と24度のユーティリティを入れていますが、今週はそれらに変わって、3番アイアンと4番アイアンを入れています。もちろんそれは少しでも球を上げたくないから。藤田さんはユーティリティでも球を抑える事が出来るんだけど、アイアンと比べるとどうしても出球の高さだけは差が出てしまいますからね。
4番アイアンはノーマルの4番アイアンだけど、3番アイアンはハイブリッド系のものです。3番はティショットでも多用する可能性があるので、抑える事が出来て、なおかつ飛距離も少し出た方がいいですから。
「全英オープン」のコース戦略で、「全米オープン」とあきらかに違うのは、ボールが止まる位置を考えなきゃいけないアメリカのコースに対して、イギリスのリンクスコースはボールが止まるまでの過程をイメージするってところでしょうか。わかりやすく言うと、アメリカのコースの多くはグリーンの傾斜がきつく、グリーン周りにはたくさんのハザードが点在し、花道も狭いため、キャリーを計算して確実にピンのローサイドに打って行く必要があるんです。
それに比べてリンクスのコースは、グリーンとフェアウェイがほぼ同レベルにあり、刈高以外はグリーンもそれ以外のところもほぼ同じだから、フェアウェイのどのラインを転がして行って、どうやってグリーン上に止めるかを考えるんです。地面が硬い上に風が強いので、上から止める事はショートアイアン以上のクラブではなかなか容易ではないですからね。
そういう意味ではリンクスは「フェアウェイもグリーン」と考えた方がシンプルです。スケールのデカい、「パット・パット・ゴルフ」をやっているような感じかな。途中、穴(ポットバンカー)がたくさん空いているので、そこだけは避けなきゃいけないけど、グリーンへと続くフェアウェイの傾斜を頭に入れながら上手くそこを転がして、グリーン上で球を止める事が出来たら最高です。どうしても少しアバウトな感じにはなってしまうけど、実際そうなんです。球を止めきる技術よりも、フェアウェイを転がしてグリーンに乗せるタッチの方が必要。
だから藤田さんは昨日からグリーン手前の“エプロン”と呼ばれる場所からのアプローチやパッティングの練習を毎ホール入念にされているんです。いかにその部分の傾斜と、そこからのアングルやタッチが重要かって事ですね。明日はその辺も含めて、フューリックやレナードがどこに重点を置いて練習しているかを探ってきます。