米国男子ツアー

今日のタイガー/パー5で確実にスコアを伸ばし通算18アンダーでメジャー11勝目を達成!

2006/07/24 09:00

全英オープン最終日

全英オープン最終日、タイガー・ウッズセルヒオ・ガルシア(スペイン)の最終組は午後2時30分にスタートした。通算13アンダーのタイガーは単独トップ。1打差で追いかける2位グループにはガルシア、アーニー・エルス(南アフリカ)、クリス・ディマルコの3人がいる。最終日の気温は23度前後となり風は西北西の方角から吹いていた。

2000年、そして昨年に続いて3度目の全英制覇を狙うタイガーは、フェアウェイを確実にキープし、安全にパーオンを狙う安定したゴルフを展開した。チャンスホールとなるパー5でスコアを伸ばし、最終日は1イーグル、4バーディに対し1つのボギーのみで5アンダー「67」を記録した。通算スコアを18アンダーまで伸ばし、2位のディマルコに2打差をつけて逃げ切り優勝。これで全英3勝、マスターズ4勝、全米オープン2勝、全米プロ2勝としメジャー通算11勝。11勝はウォルター・ヘーゲンと並ぶ歴代2位。ジャック・ニクラスの18勝との差を「7」とした。

バンカーの罠や難しいピンの位置を避けるようにリスクの少ない作戦を貫き横綱ゴルフを展開したタイガー。追いかける他の選手が付入る隙はほとんどなかった。前半はパー3を除く7ホールすべてでフェアウェイをキープ、グリーンを外したのはグリーンをオーバーした4番のみ(パーセーブ)。連日バーディを取っていたチャンスホールの6番パー5では3番ウッドで低いティショットを放ちフェアウェイをキープ。260ヤード残した2打目はピン左手前9メートルに見事2オン成功。このイーグルパットをクールに沈めて通算15アンダーにスコアを伸ばす。前半はパー35に対し2アンダーの「33」で折り返した。

10番のパー5でも確実に2オン2パットのバーディを奪い16アンダーとしてリードを広げる。海側のホールとなる11番からはタイガーの苦手な左からのアゲンストになる。11番のティショットは3番ウッドで右の深いラフへ。初日と同じような風の中、同じミスを犯してしまったのはタイガーらしくなかったが、右のラフは比較的ライが良く110ヤードのセカンドショットはグリーンを捕らえパーで切り抜ける。続く12番ではしっかりフェアウェイにボールを置き、易しい右手前のピンに対し問題なくセカンドショットを打つと思われたが、ギャラリーの携帯カメラで写真を撮る音に邪魔され仕切り直し。アゲンストの風に向かって少しクラブを短く握り低い球を放つもボールは左奥へとミスしてしまいボギー。前の組で回っているディマルコが13番でバーディを取りこの時点でリードは僅か1打となり緊張感が増す。

しかしタイガーはゲームプランを変えずに落ち着いたゴルフを続けた。13番では左のピンを狙わずに右手前にオン。18メートルのロングパットをしっかり2パットで収めパーセーブ。昨日の後半でフィーリングがずれてしまったロングパットだったが、このホールでの良いタッチはかなりの自信になったはず。

今大会で1番難しいとランクされたのは12番ホール(平均ストローク4.35)で、2番目は14番のパー4(平均4.33)。タイガーはここでティショットを2番アイアンでフェアウェイに置き、191ヤード残ったセカンドを5番アイアンで狙った。左ドッグレッグのこのホールはインサイドコーナーにあるマウンドの影響でグリーンの表面は全く見えないブラインドショットとなるが、タイガーはしっかりこのショットをピンそば2.5メートルにつけてバーディとする。

前の13番のロングパットと14番のセカンドが勝負を決めた2つのショットといえるだろう。続く15番パー3ではグリーン左サイドにあるマウンドのラッキーキックもあってピン手前にナイスオン。バーディを沈めて通算17アンダーとする。最終日一番易しい(平均ストローク4.45)ホールとランクされた16番でも2オン2パットで3連続バーディ、通産18アンダーとしディマルコとは3打差とリードを広げた。上がり2ホールを確実にパーで上がったタイガーは後半パー37に対し3アンダーの「34」でホールアウト。最終日の「67」はこの日71人プレーした選手の中ではベストスコアとなる。(ショーン・オヘアも同スコア)

4日間でドライバーを使ったのは初日16番の1回のみ。それでいて4日間パー5のホールを合計14アンダーとアドバンテージをとったタイガーウッズ。ロングアイアンの切れ味はもちろん、高低を打ち分けるボールコントロールは非常に優れていた。優れているにもかかわらずピンをあまり狙わずにセーフティゾーンに打ち続けていたのは「1打の重み」を知っているタイガーならでは。大会運営のR&A、開催コース、そしてクラレットジャグへの敬意だったのだろう。スコアを伸ばすということはパーを重ねてスコアを落とさないこと。当たり前のことを72ホール貫いた精神力の強さ、そしてショットに向かうときの静かな心・・タイガーウッズの凄さを感じられる最終日となった。

次なるメジャー戦は全米プロ選手権、舞台はシカゴのメダイナCC。リーズ・ジョーンズが2002年にコース改造をして全長は7562ヤード、コースレートはなんと78.1という難コースとなっている。今回は封印したドライバーショットをメダイナでは多用してくると予想されるが、強いタイガーウッズを4週間後にまた見れるのが楽しみだ。これまでのタイガーのスケジュールを考慮すると2週間後のビュイックオープンにも登場してくるだろう。

★ラウンドデータ

・スコア:67(33-34)5アンダー

・イーグル:1回 ・バーディ:4回 ・パー:11回 ・ボギー:1回

・フェアウェイキープ率:92.8%(14ホール中13ホール)
・パーオン率:83.3%(18ホール中15ホール)
・合計パット数:31パット
・1パットホール:5回
・2パットホール:13回
・3パットホール:0回

・パー5の2オン:4ホールのうち3回(5番・10番・16番)

・パー3:通算1アンダー
・パー4:通算イーブンパー
・パー5:通算4アンダー

解説:アンディー和田