米国男子ツアー

羽川豊&江連忠が語る 日本人選手に足りないもの!/マスターズ

2008/03/31 09:00

技術で裏づけされた自身を持ってほしい!

マスターズで日本人選手が優勝するために必要なものでしょ。
それは、自信ですね。
「気持ちで負けていたら、勝負にはならない」と、(上田)桃子にも常に言ってきました。
単に強気になればいいというのではないですよ。
自信を持てるだけの技術がなければダメです。
世界で戦うためには、まず、誰にも負けないよう練習を繰り返し卓越した技術を身につけることが大事です。
その自信を持って挑んでほしいですね。

気持ちで負けないというのは、自分のもっている技術があれば負けるはずがないと本気で思うことです。
世界の強豪がたくさんいる中ですから、体格の差や飛距離では勝負にならないかもしれません。
でも皆さんもお分かりかと思いますが、ゴルフは飛ばす競技ではありませんよね。
自分がもっとも練習をし、技術も上なんだと思うこと。
自分が優勝することをイメージして試合に臨まなければ、勝てるわけがないですよ。

ゴルフに限らず、日本人選手が世界の舞台で戦う際、試合に出る前から弱気な発言をしている姿も拝見しますが、その時点で負けていますよね。
同じ舞台に立つ資格があるのですから、胸を張って試合に挑んでほしいと思います。

江連忠(えづれ ただし)
1968年、東京生まれ。高校卒業後、アメリカでジム・マクリーンに師事し、93年に帰国。トーナメント参戦の傍らプロコーチとして活躍し、片山晋呉伊澤利光ら多くのトッププロを指導、“日本一のスーパーコーチ”といわれる。現在も上田桃子諸見里しのぶらを教えるほか、主宰する「江連忠ゴルフアカデミー(E.T.G.A.)」で、プロを目指す若者やアマチュアゴルファーにレッスンしている。

日本人選手が勝つためには?

「マスターズ」の舞台であるオーガスタナショナルは、コース改造をしてから極端に飛距離が必要となるコースとなりました。ある程度のパワーヒッター、キャリーで290ヤード出る選手ではないと、スコアを伸ばすことはなかなか難しいでしょう。
280ヤードと290ヤードの差って、ちょうどバンカーやマウンドを超える距離ですから、結構大きいのです。
ハザードを避けて、セカンドでしっかりと距離感の出る正確なショットが打てないと、あれだけうねった速いグリーンを克服できないでしょう。

その点、日本人選手は海外選手と比べ、飛距離で劣ることは否めません。しかし、結局オーガスタでは、1つのショットではなく、総合力で秀でていないと通用しません。
つまりはドライバー、アイアン、アプローチ、パット、すべてのクラブで高い精度が必要となるのです。
中でもポイントの1つは、アイアンショットのうまさ。グリーンの速さとうねりを考えれば、その落としどころが重要となります。
風により距離感の難しさも増しますし、アイアンの方向性や高さなど、ボールコントロールに優れた選手ではないと勝つ要素は少なくなるでしょう。

決して、飛ばす能力だけがアドバンテージになるわけではないのです。
さらに、パッティングが良くないと勝てる可能性は少ないのがオーガスタ。過去の「マスターズ」の勝負どころを見ていると、最終的にはグリーン上で決まっています。
あれだけの早いグリーンを、距離感を出すのではなくて、オーバーを怖がらずに強く打てる選手。そういう選手が勝利をものにしているように感じます。
精神的な強さだけで入れるのではなく、それ以上、その上をいかなくてはなりません。
長い距離でも短い距離でも、速さを恐れずにパンパン打てる。飛距離が出ない日本人選手でも、どこからでも入れられる選手ならば勝つ可能性は出てくると思います。

羽川豊(はがわ ゆたか)
セントラルスポーツ所属。
栃木県出身。専修大学時代に朝日杯全日本学生選手権4連覇。ツアー通算5勝。
マスターズは1982年に15位タイ、83年に36位タイと2度の出場で確実に予選を突破。現在は自身のゴルフサロン「HAGAWA YUTAKA GOLF SALON」でレッスンを行う傍ら、トーナメントのレポーターも行っている。