2012年 マスターズ

【石川遼専属キャディ・加藤大幸のマスターズレポート〈2〉】

2012/04/05 11:09
開幕前日の石川遼と加藤キャディ。2人は、いまの状態の良さを共有している。

マスターズへの挑戦は今年が4度目になりますが、今年のコースは去年とほとんど変わっていないので、攻め方にも大きな変化はありません。

僕の中では前半のキーポイントは4番、5番、7番の3ホール。後半はアーメンコーナー(11、12、13番)だけじゃなくて、言い出したらキリが無いくらい難しい…。だからこそ前半に良い流れを作りたい。4番は長いパー3(240ヤード)ですが、あとの5番、7番でティショットをしっかりとフェアウェイに置いて、パーで切り抜けられれば、きっと一日が良い流れになると思います。

毎年「アーノルド・パーマーインビテーショナル」が終わってから、すぐに本番のコースで練習ラウンドをしていましたが、今年はしばらく別のコースで練習をして、オーガスタナショナルでプレーしたのは前の週の土曜日(3月31日)が最初でした。

オーガスタは大会が近づくにつれて、どんどんコースが変わっていきます。特にギャラリーの方が入ると、景色が一気に変わるんです。ギャラリーロープは他のコースでは、ラフの中、深くにありますが、ここではそれが極端にフェアウェイに近いところにある。試合中はほとんどフェアウェイしか見えなかったりもするんです。

例えば10番パー4(左ドッグレッグの打ち下ろし)、ティショットで練習中は軽いドローで良いな、と思っていても、ギャラリーが入ると、急にすごいフックを打たなきゃいけないように錯覚してしまう。13番パー5でも、セカンドショットで刻むスペースがたくさんあると確認していたのに、試合になるとなんだか狭く見えてしまって、無理に狙いたくなることもあるんです。

いままでは、大会の前の週の火曜日くらいから練習を始めて、月曜日からは急にコースが狭く見えて緊張したこともありましたが、今年はその心配はありません。

今年の遼は、まず結果でも“一番良い状態”で来ていることを覚えておいてほしいです。去年、一昨年は年末に世界ランク50位以内に入れたけど、マスターズの前には順位を大きく落としていました。実際には4回目の今回が、年末からの世界ランクをキープできている状態なんです。

「20歳のマスターズ」と言われていますが、本人はどうなんだろうな、あまり考えてないんじゃないかなと思います。18歳で日本オープンを勝てなかったし、それはあまり関係ないと思う(GDO編集部注:石川は小学生時代の卒業文集で、15歳でプロツアー優勝、18歳で日本オープン優勝、20歳でマスターズ優勝という壮大な夢をつづった。18歳で迎えた2009年の日本オープンはプレーオフで敗れて2位だった)。少しでも頭の中にあったとしても、それはそれで、いい緊張感でやってもらえたらいいと思います。

2012年 マスターズ