2012年 マスターズ

タイガー・ウッズ 復活の軌跡

2012/03/27 19:07

<再発>

2011年「ザ・プレーヤーズ」初日。左ひざ痛のため9ホール終了後に棄権したタイガー・ウッズ。昨年に続き2年連続の棄権となった(Streeter Lecka /Getty Images)

光に満ちたこれまでのゴルフから一転、悪夢のような一年を終えたタイガーは復活を期した翌2011年、前半戦にまたも足踏みをする。最終日に優勝争いに加わった4月の「マスターズ」で、古傷の左ひざと、右足アキレス腱を負傷。「ザ・プレーヤーズ」では2年連続で途中棄権し、再び離脱を余儀なくされた。一方、タイガー不在の「全米オープン」では、ロリー・マキロイ(北アイルランド)が2位に8打差をつける圧勝でメジャー初優勝。また、同年末にはルーク・ドナルド(イングランド)が史上初となる欧米両ツアーで賞金王を獲得するなど、群雄割拠の新時代の幕開けを予感させた。

<決別>

度重なる負傷を経て、タイガーは2011年8月の「WGCブリヂストンインビテーショナル」で復帰した。その一方で、周囲には少なからず変化があった。名コンビを組んできたキャディのスティーブ・ウィリアムスと別れ、同キャディはアダム・スコットのバッグを担ぐことに。タイガーは新たにかつてフレッド・カプルスやダスティン・ジョンソンのキャディだったジョー・ラカバを迎えた。また、長きにわたってサポートを受けていたマネジメント会社IMGとも決別。同社で代理人を務めていたマーク・スタインバーグと契約し、新たな道を歩んでいる。さらに、前コーチであるハンク・ヘイニーは今年3月にタイガーとの過去を明かす「The Big Miss~タイガー・ウッズをコーチした私の日々~」を発売した。

<兆候>

2012年の欧州ツアー「アブダビHSBCゴルフ選手権」で優勝争いを演じたT.ウッズ。徐々に復活の気配を漂わせていった(Ross Kinnaird/Getty Images)

薄明かりではあるが、少しずつ復活への光を感じさせたのが2011年11月の「ザ・プレジデンツカップ」だった。フレッド・カプルス主将の推薦による選出は物議をかもしたが、最終日のプレーは反対論者たちを黙らせた。そして自身がホストを務めるチャリティ競技「シェブロンワールドチャレンジ」で優勝。2012年初戦の欧州ツアー「アブダビHSBC選手権」、続く米国ツアー「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」でも優勝争いに加わる活躍を見せる。さらに3月の「ザ・ホンダクラシック」では出遅れたものの、最終日に「62」をたたき出し2位でフィニッシュ。復活の兆しを確かに残しアーニー・エルスは「古きよき時代のタイガーが戻ってくるのを見られたのはうれしい」と話した。

<再生>

2012年「アーノルド・パーマーインビテーショナル」で2年半ぶりとなる復活勝利を果たす!

そして迎えた3月下旬。ベイヒルクラブ&ロッジで行われた「アーノルド・パーマーインビテーショナル」。過去に4連覇を含む6勝を挙げていた相性抜群のコースで、タイガーは勝った。2日目に首位タイに浮上すると、そのまま最終日までトップで駆け抜け、2位のグレーム・マクドウェル(北アイルランド)に5打差をつける圧勝。米国PGAツアーでは約2年ぶり、通算72勝目に、大ギャラリーは万感の思いを込めて拍手を送った。「周囲のサポートが、信じられないくらい力になってくれた」。ゴルフの祭典マスターズを前に、王者の止まっていた時計の針が、再び動き出した。

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