米国男子ツアー

「ザ・ツアー選手権」タイガー速報3日目/「グーセンと同じペースで周ろうとしただけ」

2004/11/07 09:00

一流の勝負感が完全に戻ってきた。抜かれれば、追いつき、そして寄ろうものなら最後は突き放す。そんなオーラがタイガー・ウッズのプレーに漂い始めた。

前日大会レコードに1打差に迫る「64」を叩きだしたタイガー・ウッズ。この日は最終組の1つ前で今季の「全米オープン」覇者レティーフ・グーセンとのラウンド。1番ホールでいきなり3パットで一歩後退、そして最終組で前日2位以下に2打差をつけて首位発進したジェイ・ハースが序盤3ホールで2つスコアを落とした。この時点でハースとタイガー、グーセンとの差は僅かに1打。

先に仕掛けたのはグーセンだった。7番パー4の2打目を1.5メートルにつけてバーディ。「何とかしてグーセンについていくことだけを考えていた」と、タイガー。続く8番で3メートルのバーディパットを沈めて食らいつく。しかし、グーセンは7番から10番まで4連続バーディと絶好調。するとタイガーも8番から4連続バーディを奪取。「グーセンはそのまま逃げ切ってしまんじゃないかと思った。俺は同じペースで周ろうとしただけ」と、タイガーは振り返る。

そしてグーセンが13、14番と連続ボギーを叩き崩れ始める。タイガーとハースが首位で迎えた15番パー5が圧巻だった。15番ホールは軽い右ドッグレッグで右サイドには大きな杉の木が2本立っている。タイガーはティショットを杉の木の上を越す302ヤードのキャリーで楽々2オンできる位置につけた。さすがにこれには大ギャラリーの一部は歓喜のあまりハイタッチする者も。タイガーの復活をみんなが待っているのがイーストレイクGC中に漂う。

これで1年1ヶ月ぶりのストローク戦優勝が目の前まで来た。タイガーの最終日のラウンドパートナーは50歳で周囲からはすっかり「おじいちゃん」キャラに仕立て上げられたハース。タイガーとハースは良き親友でもある。去年の全米オープンでタイガーと練習ラウンドを共にしてから、徐々に親交が深まっていった。「多分5:30に起きて練習ラウンドを周ってくれる人が俺くらいしかいないんじゃないかな」と、ハースは笑い飛ばす。

どの角度から見てもタイガー有利は変わらない。ハースは1993年以来ツアーでの優勝回数は「0」。一方のタイガーは、最終日を首位または首位タイで迎えた大会は32回中30回制覇している。大舞台に強いどころではない。ハースは白旗宣言を出している訳ではない。しかし、「明日例え勝てなくても、俺の人生が終わるわけじゃない。このような状況でプレーできることを楽しみながら、明日は周る。10年後は、家のテレビの前でここにいる選手を見てることになるんだから」と、テンションがいまいち上がってこない。

明日タイガーが優勝することになれば、米国男子ツアーに新たな歴史が刻まれる。タイガーが復活を告げた日・・・。その雰囲気は既に漂い始めている。