なくしたら連覇でシラを切れ トロフィーにまつわる珍事/いまさら聞けない全米プロ(5)
◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 3日目(20日)◇オークヒルCC(ニューヨーク州)◇7394yd(パー70)
2023年のメジャー第2戦「全米プロゴルフ選手権」は残すところ、21日(日)の最終ラウンドだけになりました。男子ゴルフ界の「マスターズ」「全米オープン」「全英オープン」と並ぶ4大メジャーの勝者が間もなく決まります。“プロゴルファー世界一決定戦”の、いまさら他人に聞けないポイントをおさらいします。
「マスターズ」はグリーンジャケット、「全英オープン」はクラレットジャグ…。メジャー大会の表彰式で優勝者が手にするものは、そのままタイトルのシンボルになります。
全米プロ制覇の証しはワナメーカートロフィー。高さ約74㎝、重さはなんと約15kgのシルバーカップです。デパート事業などで大成功を収め米国の郵政長官を務めたジョン・ワナメーカー氏の息子、ルイス・ロッドマン・ワナメーカー氏が大会の大スポンサーだったことから名を冠しました。
ワナメーカートロフィーに関する有名な逸話が、レジェンドによる紛失事件です。1924年から大会を4連覇(通算5勝)したウォルター・ヘーゲンは3連勝に挑んだ1926年、大会前にトロフィーを一度返還することを拒否しました。
「どうせ私が勝つのだ。タイトルを防衛するんだから持ってこなかった」と理由を説明し、宣言通り優勝。その翌年も同じようにして勝ったのですが、1928年についに連覇が途絶えると、ヘーゲンはトロフィーをなくしていたことを告白します。その後、数年間は代替のトロフィーが優勝者に贈られました。
そして1931年、全米プロゴルフ協会はワナメーカートロフィーが発見されたと発表しました。ミシガン州にあったヘーゲンのゴルフ関連会社の倉庫で、清掃員によって見つけられたとのこと。ヘーゲンは後に、大会を2連覇した1925年の祝賀パーティをしていた時に所在が分からなくなった可能性が高いと明かしています。
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