今平周吾が3度目の全英 初の聖地に「戦いやすさを感じた」
◇メジャー第4戦◇全英オープン 事前(11日)◇セントアンドリュース オールドコース (スコットランド)◇7313yd(パー72)
コース沿いには中世の趣を残す建物、コースを真横に抜けると白砂の海岸に出る広大なリンクス、上空にはかもめが鳴き声をあげながら飛び交う。「広いですね」。今平周吾が3度目の出場にして初めてセントアンドリュースオールドコースを回った第一印象だ。
先週土曜の昼にスコットランドに入り、会場入りした10日に1番~4番、15番~18番の8ホール、この日はバックナインをプレーした。150回記念大会の会場設営もあって、「雰囲気があって回っていて楽しい」と笑顔をのぞかせる。
小学生の頃からコースの名前は知っている。「17番の(ティショットの)ホテル越えとか、18番の橋(スウィルカンブリッジ)とか」。日本では今大会を前にスポンサー契約を結ぶGOLFZONのドライビングレンジでシミュレーションゴルフもしてきたが、会場周辺の環境を含め、「やっぱり現場の良さがある」と実感を込める。
風が穏やかだった日中の練習ラウンドとあって、「狙いどころを定めるのが難しい」ティショットも思ったよりは難度を感じなかった一方で、警戒するのは「やっちゃうときはやっちゃう」と表現したグリーン周り。「オーバーしちゃうと砲台(グリーン)になっているので、乗っても出ちゃうホールが何個かある」という。そこは、クラブはウェッジのバウンスを少なめにして「下が硬いので弾かれないように」するなど対応策を講じる。
17番の深いポットバンカーで、1978年大会で中嶋常幸が脱出に4打を要した通称“トミーズ・バンカー”も要警戒箇所のひとつ。「あれは大変。入ったら(出すのは)難しい」。ただ、コースには112個のバンカーがあるが、いずれも予選落ちした2016年のスコットランド・ロイヤルトゥルーン、2019年の北アイルランド・ロイヤルポートラッシュのバンカーとはまた違ったイメージのようだ。
「ちょうどバンカーが(ティショットを打って)越える距離にある。前の大会は越えないバンカーがあった。距離がない分、戦いやすいと感じた」。クラブの進化なども手伝って飛距離が伸びた時代にあって、歴史をそのまま残すコースのバンカー攻略のマネジメントも変化してきているのかもしれない。
「風がなければ」という条件付きで「アンダーで回れそう」ともいう。ただ、一日で気候ががらりと変わる自然と風の脅威であまたの選手が挫折に追いやられたゴルフの聖地だけにやはり油断大敵ではある。5月「アジアパシフィック・ダイヤモンドカップ」で優勝して得た3度目の挑戦。「まずは予選通過したい」。無駄に終わらせるつもりは毛頭ない。(スコットランド・セントアンドリュース/清野邦彦)