決めたキズナーと外したスコット 明暗分けた6人プレーオフの“間”
◇米国男子◇ウィンダム選手権 最終日(15日)◇セッジフィールドCC(ノースカロライナ州)◇7131yd(パー70)
「アダムがあのパットを外すとは思わなかった」。ケビン・キズナーは素直に振り返る。プレーオフ1ホール目、誰もがアダム・スコット(オーストラリア)の優勝を確信していた。ティショット、セカンドと完璧なつなぎで1.3mのチャンスを演出。グリーンを捉えていたのもスコットとロジャー・スローン(カナダ)の2人しかいなかった。
キズナーは「5人の選手が自分(スコット)より先にパットを打っていた中で、彼は優勝するために今までで一番長くあのパットを待たなければならなかったんじゃないか」と推察した。
ツアー最多に並ぶ6人によるプレーオフ。絶好のチャンスにつけたスコットは、ほかの5人がパーで上がってからバーディパットを打つ形になった。今週だけで54回打った1.5m以内のパット。外したのは、この1回だけだった。
同じ18番で行われた2ホール目、キズナーにも同じ状況が訪れた。決めれば優勝という1m強のバーディパット。「カップの右端を狙うだけ。プレッシャーは、そこまで感じなかった」と落ち着いていた。ラインに集中して難なく沈め、拳を握った。
「WGCデルテクノロジーズマッチプレー」では2019年に優勝し、18年にも2位に入っている。マッチプレー巧者のイメージとは裏腹に、プレーオフはこれまでのキャリアで5戦全敗と不名誉な称号を背負ってきた。
「プレーオフに残るときは、一週間を通して素晴らしいプレーをしてきたということ。僕は自分のことをツアー4勝じゃなく、9勝のプレーヤーだと思っているんだ」と笑い、「きょうでこの(プレーオフが苦手という)質問がなくなることを願うよ」。初出場を熱望する9月の欧州選抜との対抗戦「ライダーカップ」(ウィスコンシン州ウィスリングストレイツ)に向けても大きなアピールとなった。(ノースカロライナ州グリーンズボロ/亀山泰宏)