2021年 全米プロゴルフ選手権

距離ではない 9年前の “前回王者”マキロイが指摘するカギ

2021/05/20 07:59
ここまで湿地帯が広がる風景は日本にはない(撮影/田邉安啓)

◇メジャー第4戦◇全米プロゴルフ選手権 事前情報(19日)◇キアワアイランドゴルフリゾート・オーシャンコース (サウスカロライナ州)◇7876yd(パー72)

ロリー・マキロイ(北アイルランド)が前回このキアワアイランドで開催された「全米プロ」で優勝したのは、「ロンドン五輪」が開催されていた2012年8月だった。前年の「全米オープン」に続き2位に8打差をつける圧勝でメジャー2勝目。当時のフィールド平均スコアは「74.6」で、同年のPGAツアーにおいて「全米オープン」に次ぐワースト2位の数字だった。通算アンダーパーは20人だけで、13アンダーの優勝スコアはまさに異次元と言えた。

妻のアリスさんとの合作で設計を担当したピート・ダイはサウスカロライナ州のこの浜辺を「米国で最も素晴らしいシーサイドのひとつ」と表現し、大西洋と大陸の湿地帯が広がる雄大な土地に魅了された。1989年の夏場に造設に着手し、一度はハリケーンの被害を受けながらも1日18時間労働という懸命の作業で2年足らずでオープンさせた。

砂浜の上に細長い八の字を描くように18ホールがデザインされ、うち10ホールが海側に位置する。「全英オープン」のリンクスで浴びるような強烈な風が一番の難敵と言っていい。特に開幕前の3日間のように東から風が吹くと、1番から4番まで、14番から18番までがアゲンストに(残りのホールはフォローに)なり、“入り口と出口”の体感距離が一気に長くなる(もちろん、ティが前に出される可能性もある)。

9年ぶりの開催となった今年、18ホールの設定距離は7876yd。メジャー大会史上最長に伸びたが、マキロイは「大きな違いを感じている。グリーン周りでのプレーが前回ほど簡単ではないだろう」とその“長さ”ではない部分に着目した。

今週のコースはグリーン周りの難易度も高い(撮影/田邉安啓)

コース上の芝は開場当初、暑い地域で馴染みがあるバミューダ芝だったが、2012年大会の前にグリーンとティイングエリア、フェアウェイが潮風や海辺の日光に適したパスパラムに張り替えられた。この芝種でメジャーが行われるのは当時が初めてだった。

「前回は8月で暑く、湿度も高かった。パスパラムが実に強く、密集していて青々としていた。だからボールはよく止まったし、ロブウェッジでスピンもしっかり掛けられた。チップとパットがうまくいって勝てた」とマキロイは振り返る。確かに当時は雨による中断もあった。

一方で今年は5月開催で空気が乾燥していることもあり、グリーン上でボールが前回よりも転がるという印象を口にした。「2012年とは全く違うショットをグリーン周りで見ることになるだろう」と小技の出来が数字の差に直結すると予想した。(サウスカロライナ州キアワアイランド/桂川洋一)

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