キャップに「3.11」 松山英樹は今週も緊張の2日目へ
◇米国男子◇プレーヤーズ選手権 初日(11日)◇TPCソーグラス(フロリダ州)◇7189yd(パー72)
バーディを奪った名物ホールでの喧騒が、この日唯一といえる松山英樹が浴びた大歓声だった。浮き島グリーンの前半17番(パー3)で5mを沈めて1アンダーで折り返した後、後半アウトで5つスコアを落とす「76」。4オーバー暫定112位の出遅れで、今週も予選通過が気になるポジションで2日目を迎える。
少しのミスが不安を大きくした。後半1番、右サイドに大きく曲げた1Wショット。3番(パー3)でグリーンを越えたアイアンでのティショット。「その後『右に飛ぶんじゃないか』、『オーバーするんじゃないか』といろんなことを考えてしまった」と松山は言った。
その1番はバンカーからの3打目で、上り傾斜のラフに当ててピンそば3mに寄せた後、パーパットを外した。3番は奥のラフからの2打目で再び、砲台グリーンへのクッションを狙ったチップが直接グリーンに届き20m近くオーバー。3パットでダブルボギーを喫した。
「ショートゲームでミスをさらにミスにしてしまった」。6番ではフェアウェイからの2打目をダフらせ、花道からのアプローチが寄らずイライラは募るばかり。「グリーンのスピードがイメージできず、一日中、合わせられなかった」ことから33パットを要した。コロナ禍で大会が中止になった前年初日にマークした「63」のプレーには遠く及ばなかった。
前週の「アーノルド・パーマー招待」に続き、予選通過圏外で初日を終えた。2021年に入り、第1ラウンドでアンダーパーをマークしたのは1月「ソニーオープンinハワイ」だけ。今季は出だしと、締めくくりに不満がある。前週までの各ラウンドの平均スコアは第1ラウンドが「70.69」(全体110位)。以降は「69.15」(19位)、「69.45」(48位)、「70.64」(129位)となっている。
「持ちこたえるというか、持ち直すということはなかなか難しいですけど、あした、切り替えてトータルでアンダーパーくらいを目指して頑張りたい」
東日本大震災から10年目の3月11日を迎えた朝、松山は日の丸を思わせる白地のシャツと赤いパンツ姿でティオフ。早藤将太キャディとともに、キャップのうしろには「3.11」と書き込んだ小さな画用紙を、両面テープで貼り付けてプレーした。諦めるわけにはいかない。(フロリダ州ポンテペドラビーチ/桂川洋一)