デシャンボーは555ydパー5で309ydの“刻み” 「10マイルの追い風ならば」
◇米国男子◇アーノルド・パーマー招待 初日(4日)◇ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)◇7454yd(パー72)
1日当たり8000人を上限に来場者を認めた今大会。多くのギャラリーは入場ゲート近くの6番(パー5)でその瞬間を待った。湖の周りを半周する名物ホール。ファンの期待を熟知したブライソン・デシャンボーは、ティイングエリアでキャディバッグからアイアンを引き抜いた。
「ジョークのつもりで」とひと笑いを取ってから、1Wに持ち替えてショット。好条件が整った場合に“予告”していた、湖の向こうのグリーンは狙わず、はるか右側にターゲットを取った。
Update: Not today. But not a bad "lay up." pic.twitter.com/7TR7RfGcXk
— PGA TOUR (@PGATOUR) 2021年3月4日
「(後半)4番をプレーしていたとき、風向きが変われば可能性はあると思ったんだ。でも1オン狙いの期待値も高く、ちょっと僕もプレッシャーを感じていた」。ショートカットには350ydのキャリーが必要。この日は309yd先のフェアウェイに“刻み”、残り206ydを2オンさせて3連続バーディ。首位に1打差の3位発進に成功した。
デシャンボーはこの日、普段よりも重量のある1Wのヘッドを使用したという。その分ヘッドスピードは落ちるが、スピン量が(分速)3000回転前後出て、ボールの行方をコントロールしやすいモデルだった。
「いつもの2000回転前後の1Wだったら、きょうも行けたと思う。明日か、週末にもっとフォローの風が吹いてくれたら」と、あきらめてはいない。「時速10マイル(秒速4.4m)の追い風が吹いたら狙うよ。必ずしもグリーンではなくて、30、40ydほど右のバンカーの辺りを含めてね」
ホールアウト後、同組でプレーしていたジョーダン・スピースは「興味がないと言ったらウソになる」と言った。ドライビングレンジの隣の打席で居残り練習していた松山英樹をはじめ、多くの選手たちが苦笑いもしながら、デシャンボーの弾道に目を凝らしていた。
1試合で280球前後、年間で数千球以上を放つショットのうち、“一発”への期待がコースに充満している。(フロリダ州オーランド/桂川洋一)