シェーン・ローリー “ホーム”でつかんだメジャー優勝
◇メジャー第4戦◇全英オープン 最終日(21日)◇ロイヤルポートラッシュ(北アイルランド)◇7344yd(パー71)
シェーン・ローリー(アイルランド)が、自身初のメジャー制覇を北アイルランド開催の「全英オープン」で決められると実感したのは、17番のティショットをフェアウェイに置いたときだった。「これでもう、球を失くす心配はない」。
4打差リードで出た最終日だったが、危機は1番で訪れた。ティショットを左に曲げたローリーは、2打目もバンカーにいれて2.5mのボギーパットを残していた。一方、同組のトミー・フリートウッド(イングランド)は、同じ距離のバーディパット。ダブルボギーとバーディで、その差は一気に1打になる。だが、ローリーは決め、フリートウッドはミスをした。差は3打になったが「あれで、かなり落ち着いた」と、それ以降2人の差は3打以下には縮まらなかった。
ローリーがバーディを奪うたびに、アイルランド国旗を振るギャラリーから歓声と応援歌が沸き起こる。強い雨がリンクスをたたいた8番、9番を連続ボギーとしたものの、まだ貯金は5打。午後組スタートで、アンダーパーで回った選手は1人もいない。14番はフリートウッドが「あれで終わった」とダブルボギーをたたいて通算9アンダーに後退。ローリーが15番でバーディを奪ってリードは6打。あとは1ホールずつ消化していくだけだった。
18番の2打目を終えると、ギャラリーの大歓声に帽子を取り、両手を上げて応えてみせた。「素晴らしかった。信じられない。自分がリードしていたから、今朝になってたくさんの人も地元から駆けつけてくれていた」と、ゴルファーなら誰もが夢みる幸福な歩みを楽しんだ。
この日1オーバー「72」。後続に6打差をつける圧勝だった。「いまは信じられないくらい落ち着いている」と優勝会見でローリーは打ち明けた。「なぜかはわからない。普通は(飲み込むまでに)数日かかるものじゃない?」
複雑な事情を共有するアイルランドと北アイルランド。ローリーはこう表現した。「今夜は家(home)に帰れるんだ。いま僕はホーム(home)にいる。言ってる意味がわかるかい?ホーム(home)で勝つことができたんだ。地元の人たち(local people)と優勝を祝うことができるなんて、とっても素敵だよ」。(北アイルランド・ポートラッシュ/今岡涼太)