日本勢2人目のメジャー獲りへ加速 畑岡奈紗が焼き付けた“一人旅”
◇米国女子◇ウォルマート NW アーカンソー選手権 by P&G 最終日(24日)◇ピナクルCC(アーカンソー州)◇6331yd(パー71)
「20アンダーが目標だった。守るのは(気持ちが)弱くなっているということ」。初優勝した畑岡奈紗はそう語った。首位タイから前半に5打差を築いたが、攻めの姿勢を貫き通した。8バーディ、ボギーなしの「63」で後続に6打差。大会最多アンダーパー記録を更新する通算21アンダーの圧勝劇を演じた。
何度もボードを確認し「ハーフターンで5打差は全然、逆転があり得る」と気を緩めなかった。チャンスを逃すと、差があっても険しく首を傾けた。その表情がかすかに緩んだのは15番(パー3)。浮島グリーンでピン下から6mのバーディパットを沈め「終盤にこのバーディは本当に大きかった」と力強くこぶしを三度握った。
雨の降り出したスタジアム型の17番(パー3)は、ピン左2.5m。冷静に決め、電光掲示板のスコアを20アンダーに乗せた。この時点で優勝はほとんど確定。一人旅を続ける異国の19歳に、観客から指笛と声援が飛んだ。最終18番(パー5)は打ち上げの3打目をカップ50センチほどにピタリ。「最後は21アンダーにしたかった。終盤はイメージが出る」と17番、18番は3日間連続でバーディとした。
ティオフ前は「競(せ)って最終日を出ることはほとんどなかったから、自分が好調でもどうなるんだろうか」と緊張感があった。ただ、同組の世界ランキング3位レキシー・トンプソン、同9位ミンジー・リー(オーストラリア)を前に「自分のゴルフに集中できた」と冷静さを保ち続けた。前半3番(パー3)にチップインで奪ったこの日初バーディを境に「ピンチがチャンスに変わったから」。一度乗った流れを誰にも渡さない強さがあった。
賞金ランキングは5位になった。次週はメジャー今季3戦目の「KPMG女子PGA選手権」(28日~/イリノイ州・ケンパーレイクGC)。喜びに浸る時間はなく、25日(月)には会場入りする。「グリーンのスピードに慣れていきたい」。樋口久子以来、日本人史上2人目のメジャー優勝へ19歳が名乗りを上げた。(アーカンソー州ロジャーズ/林洋平)