世界トップ20で唯一の30代 申ジエがイ・ボミ引退に贈る言葉
◇米国女子◇BMW女子選手権 2日目(20日)◇ソウォンヒルズ at ソウォンバレーCC (韓国)◇6647yd(パー72)
3年ぶりの韓国での試合は、初日3アンダー24位。「こっちに来る前は期待していたけど、回ったら、“あ、ちょっと厳しいかな”って」と申ジエ(韓国)は眉を下げたが、クラブハウスに戻ると母国メディアのインタビューと、サイン待ちのファンが列を作って待っていた。
ファンが持っている白いキャップは、今週のために作ったオリジナルグッズ。ゴールドで書かれた「64」は世界各ツアーでの通算勝利数だ。2009年に米ツアーの賞金女王に輝き、翌年に世界ランキング1位に到達。日本を主戦場にしてからは海外でのプレーも減り、韓国でのトーナメント出場は、20年に参戦した韓国女子ツアー以来だった。「しばらく日本でプレーしてきたので、新しい刺激も欲しかった」と、18年のキャリアを積んでも挑戦の意欲は尽きない。
「30代に入って招待される試合も増えましたが、取捨選択も必要。イベントは減ったけど集中力は高まったので、色々な試合から刺激をもらっています」。試合数を調整しながらスポット参戦したことしの海外メジャーは、「全米女子オープン」2位、「AIG女子オープン」3位と優勝争いに絡んだ。
現在16位につける世界ランクでは、トップ20のなかで唯一の30代。「いつまで続けられるかを考えて、悔いの残らないように頑張っていきたい」と、ペース配分に気を配りながら35歳からのキャリアを考えている。
だからこそ、同世代のイ・ボミ(韓国)の引退は「勇気のある選択」と話す。ボミは今週の国内女子ツアー「マスターズGCレディース」が日本でのラストマッチ。韓国に来る前に、日本で食事と練習をともにした。「コースの中ではライバルで、出れば友達だったから本当に寂しい。今まで一生懸命頑張って来たから、引退の選択は勇気がないとできない」。友人にエールを贈りつつ、自身は久々の母国での活躍を目指して気を引き締める。
2日目を終えて、通算4アンダー21位。「たくさんのギャラリーの皆さんの前で、いいプレーをしたいです」と、白いキャップを被るファンの声援に笑顔を向けた。「早く勝利数を“65”にしたい。目標として、キャップに入れるのは65にすればよかったかな」と笑う申に、まだ「引退」の選択肢は浮かんでいないようだ。 (韓国坡州市/谷口愛純)