ティショット0発で練習ラウンド6時間 渋野日向子は“予習”徹底
◇米国女子メジャー◇ANAインスピレーション 事前(31日)◇ミッションヒルズCC(カリフォルニア州)◇6763yd(パー72)
開幕を2日後に控えていた30日(火)。渋野日向子は6時間に及ぶ練習ラウンドで、ティショットを1球も打たなかった。ティイングエリアでは「ラフに入れても、5ydまでなら木が邪魔にならない」といったロケーションを入念に確認して歩き出す。ピンまで残り100yd以内に入ると、想定されるピン位置に対してウェッジショットのキャリーとどれだけ転がったか、ひたすらデータを蓄積した。
長いクラブを振れば、どうしてもスイングへの意識が出るもの。「打たずにいろんなところを見て歩くと、また違うものが見えてきたりする」。まず情報収集に100%を費やしてから“普通”に回って最終調整する。「ティショットでどこを向くとか先に決めておいたら、風によってちょっと変えるだけなので。パッと決めやすい」。この日インからプレーした18ホールは“予習”をなぞるような作業でもある。
スイング、セッティングとあらゆる変化を恐れず、貪欲に新たなトライを続ける過程の今季メジャー初戦。9月開催だった昨年に続く出場だが、「こんなに難しかったかなという印象。ラフが長くてメッチャ難しい。グリーン周りもフェアウェイの横も『納豆か!』ってくらい粘っこい」と苦笑しながらタフな戦いへの覚悟をにじませる。
ノンメンバーでもポイントを積み上げれば、Qスクール上位通過以上のステータスを獲得できる新たなシステムへの色気ものぞかせつつ、「いま焦ってしまったら、元通りになる。その中で結果を残したい気持ちもある。いまの自分は4日間戦うことが大事。そこにフォーカスする」と足元を見つめた。
優勝者のダイブが恒例となっている18番グリーン脇の通称“ポピーポンド”について聞かれ、「泳げないんで、飛び込むのはちょっと…」と笑わせるサービス精神は相変わらず。ブルック・ヘンダーソン(カナダ)、ハンナ・グリーン(オーストラリア)とメジャー覇者がそろう予選ラウンドについても、「この会場にメジャーチャンピオンはいっぱいいる。私は“一般ピーポー”だから。初心に戻って戦います」と渋野らしい意気込みを口にした。(カリフォルニア州ランチョミラージュ/亀山泰宏)