米国女子ツアー

最後まで魅せてくれた女王のラストシーズン/2008年米国女子ツアーレビュー

2008/12/26 14:57

2008年度のUSLPGAツアーはツアー3年目となる宮里藍に加え、上田桃子がルーキーとしてツアーフル参戦を果たすシーズンとなった。シーズン前から注目を集めていたのはアニカ・ソレンスタム。2007年は首と背中を痛めてしまい13試合しか参戦できず、屈辱の未勝利に終わっていたソレンスタムは、開幕戦となる「SBSオープンatタートルベイ」でいきなり勝利を挙げる。そして4月末の「スタンフォードインターナショナルプロアマ」と5月上旬の「ミケロブウルトラオープン」と2試合連続優勝を果たした。しかし、新女王ロレーナ・オチョアとの争いがこれから楽しみになったと期待した矢先の5月13日に衝撃の記者会見が開かれた。アニカが今シーズン限りで現役から退くということだった。実際にRetirement(引退)という言葉を使わなかったということで将来的には復帰の可能性も残すものの、2009年には婚約者マギー氏との再婚が予定されており、人生において家族を築き上げたり、アニカブランドの確立、コース設計や自らがデザインをするファッションブランドのビジネス展開を楽しみにしていると語った。この引退表明後はアニカがUSLPGAツアーでトロフィーを掲げるシーンを見られなかったのはとても残念だったが、中国開催の欧州女子ツアー競技での優勝や、チーム戦となる「レクサスカップ」でチームを勝利に導くなどをして有終の美を飾った。アニカのLPGAツアーでの優勝数は、メジャー10勝を含む72回。2001年には女子ゴルファーとして唯一の「59」というスコアも記録している。

2007年度に賞金女王、最多勝利数、世界ランク1位、平均ストローク賞、ロレックス最優秀選手賞と五冠に輝いたオチョアは、2008年度も同じ五冠のタイトルに加えて「クラフトナビスコチャンピオンシップ」のメジャータイトルも獲得。シーズン前半に9試合で6勝と勢いのあったオチョアだったが、5月には叔父、6月には祖父の他界などプライベートの面でゴルフに集中しにくい辛い時期もあり、2007年度の年間8勝には届かなかった。だが、オチョアの世界ランクトップの座は揺るぎのない位置となっている。

オチョアがメジャー緒戦の「クラフトナビスコチャンピオンシップ」を制したあと、アジア選手が残りのメジャー3試合で優勝を挙げた。「マクドナルドLPGAチャンピオンシップ」は台湾のヤニ・ツェン、「全米女子オープン」は韓国のインビー・パク、そして「全英リコー女子オープン」は日本ツアーでも活躍をみせた韓国の申智愛が制した。ピンクパンサーことポーラ・クリーマーはメジャータイトルは逃がしてしまったものの年間4勝、獲得賞金は自己ベストとなる180万ドルを突破して、賞金ランク2位に食い込むハイパフォーマンスを見せた。

上田桃子は開幕戦で優勝争いに絡む健闘をみせて5位フィニッシュ。シーズン19試合に参戦し、トップ10は3試合。賞金ランクは45位で終了した。データ部門ではドライビングディスタンス256.9ヤードでツアー22位だった。参戦3シーズン目となる宮里藍は、23試合に参戦して賞金ランク46位。トップ10フィニッシュは3回あったが予選落ちも6試合あった。データ部門では、ルーキーイヤーではバンカーセーブ率が31.6%でツアー125位だったが今年は52.3%でツアー7位と、苦手なエリアをしっかり克服してきたことも評価したい。

来季は注目のミッシェル・ウィがツアーメンバーとしてツアー参戦になるほか、大山志保宮里美香も最終予選会を見事突破。参戦する日本人選手は4名となる。アニカの姿が見られないのは残念だが、日本のファンにとっては楽しみが大きく膨らんだと言えるだろう。