国内男子ツアー

<65歳にして、嬉し恥ずかし弱みを握られてしまったジャンボ尾崎>

2012/09/10 07:20
65歳となった今も、ジャンボ尾崎は男子ツアーにどっかりと腰を据える存在。その理由の1つには、ジャンボの人間的な魅力が挙げられる

近頃、ジャンボが返答に困ることがある。それは弟の健夫こと、ジェット尾崎のこと。このほど、かねてより交際を続けてきた女優の坂口良子さんと、めでたく結婚式を挙げた。その一部始終が人気テレビ番組で放映されたことから、ジャンボがちょっぴり不利(?)な立場に立たされているのだ。

いやもちろん、番組をごらんになったファンのみなさんには、感動シーンの連続に「あれのどこが不利なんだろう」と思われるだろうが、男・ジャンボには許せない。

「ジャンボさん、おめでとうございます!」と長兄として、弟の祝福を受けるたびに思う。「・・・言ってくれるなよぉ~」。相手は純粋にお祝いをしてくれているのだが、ジャンボにはつい別のことが頭をよぎる。自分がマイクを握った親族代表のスピーチだ。特に、話が高齢のお母様のことに及んだときに、人生で一番といっていいほど大泣きしてしまったのだ。「オヤジが死んだときはもうこれ以上、涙は出ないと思ったけれど。あれ以来」とあとでジャンボは言ったそうだが、それほどの名シーンだった。

しかし本人にしてみれば、情に流され人目もはばからずに大泣きしてしまったことが気まずくて仕方ない。「本当に素敵な結婚式でした」と、周囲に感心して言われるたびに、「弱みを握られたと思ってしまうんだ」と、苦笑した。

そんな見栄っ張りな一面も、魅力のひとつ。いまなお、レギュラーツアーにこだわるのも意地があるから。それと一番は、尽きせぬゴルフ愛。今もスイングやクラブセッティングに試行錯誤を重ね、会場で若手とゴルフ談義に熱弁をふるう姿を見かける。

先週の「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN 涼仙」では、2日目の15番に、この日6つめのバーディを奪って、すわエージシュートかと会場は色めき立った。しかし次の16番で、痛恨のボギー。「わざと止めたんだ」と、強がった。もし快挙達成でも予選落ちは確実で、「落ちてそういうのは俺の人生にはない」と言い張ったが、関係者には小声で「惜しかった・・・」。それでもやっぱり報道陣の前では頑として、「そういうのは、優勝したときにやるから」。

絶対に弱みを見せない。見せたくない。まさにプロの中のプロ。それでこそジャンボ尾崎だ。だけど、ときどきぽろっと露呈してしまう素顔は、すこぶる人間味にあふれる。そのギャップが今も、ファンにはたまらない魅力のひとつなのだ。