ツアープレーヤーたちのバンクーバー
バンクーバー五輪は今週12日に開幕。この冬季オリンピックの代表選手の中に、ツアープレーヤーたちと深い縁の選手がいる。アルペンスキーの皆川賢太郎さん。今回で4大会連続出場の鉄人は、言わずと知れた“スキーの革命児”だ。
同い年ということも手伝って意気投合し、友情を暖めてきたのは皆川さんに負けず劣らずのイケメンゴルファー、矢野東。ますます絆が深まったのは一昨年だった。矢野が片山晋呉と最後まで賞金王を争った2008年。
その最中に「矢野ちゃんも1番になりなよ」と言って皆川さんが贈ってくださったのは、「1」の数字をかたどった超・高級ガラスメーカー「バカラ社」のオーナメントだった。
折しも皆川さんは、最愛の父を亡くしたばかりだった。慟哭の中にあっても、まさに緊迫の渦中にいる親友の気持ちを思いやり、どん底にあってさえ誰かを励まそうとする皆川さんの優しさ、強さ・・・。
この心のこもった贈り物に発奮しないわけがない。矢野は、直後のトーナメントで自己記録となる10試合連続のトップ10入りを果たして報いた。賞金王こそ逃したが、大親友からのエールが自己最高の賞金ランク2位の拠り所となった。
種目を超えた友情が、心の支えになった。
左ひざじん帯断裂という大けがを過酷なトレーニングで乗り越え、不死鳥のように復活した皆川さん。そんなトップアスリートの姿に発奮した選手は矢野だけではない。
丸山大輔が、皆川さんと出会ったのは昨年オフだ。
ストイックに打ち込む様子に「世界一を目指す人は違う。それに比べたら自分は子供のよう」と、衝撃を受けた。一念発起で、皆川さんと同じジムに通い詰め、食生活も改善。徹底的に鍛え直したら効果てきめん。
昨年のアジアパシフィック パナソニックオープンで4年ぶりのツアー2勝目を飾ったのだった。
スポーツは違えど、がむしゃらに頂点を目指していく姿勢は誰も同じ。垣根を越えて、刺激を受け合う様子がまた、新しい感動を呼ぶ。
皆川さんの新妻もまた、五輪代表選手の上村愛子さん。矢野も自身のブログに「愛ちゃんも頑張れ」と綴るなど、夫婦揃ってのご健闘、そして表彰台をゴルフ界も心から祈っている。