「アイラブユー!!」ポール・シーハン、最愛の家族にささげる日本ツアー初優勝/フジサンケイクラシック
2004/05/10 12:00
2打差の単独首位からスタートした最終日は、悪天候の中、最後まで堂々とした戦いぶりだった。1番で、奥から1メートルの難しい下りフックラインを沈めると、続く2番で10メートルのバーディチャ ンスを決めて、序盤であっという間に差を広げた。
ティショットのミスで、パーオンに失敗した4番パー5では、グリーン手前から10メートルのアプローチ をチップインバーディ。11番パー3ではあわやホールインワンのOKバーディで、ボギーなしの通算17アンダー。そのまま余裕で 逃げ切った。
家族の存在こそがパワーの源
雨降りしきる川奈の最終18番グリーン、残ったのは、わずか10センチのウィニングパットだった。ほかの選手のホールアウトを待っている間、背後から愛しい声が聞こえてきた。
「ウ~、ア~!!」
長女・ビリーちゃんだった。妻ジャッキーさんの腕の中で、パパを見つけてはしゃいでいた。厳しいプ ロゴルファーの顔から一転、振り返ったシーハンの相好は、たちまちに崩れていた。
「オォ~! ビリー!」
まだプレー中のほかの選手を気遣って、口に指をあて一応は、「シ~っ!!」と制してみせたものの、 その表情はすっかりデレデレ。
豪州出身のシーハンは現在、ホテルからホテルの旅暮らしだ。まだ10ヶ月のビリーちゃんを連れての転 戦生活がジャッキーさんに負担をかけていることは承知の上。しかし、シーハンにとって家族の存在こそがパワーの源。3週前から日本に呼び寄せ、ともに戦っている。
「彼女たちが、僕をその気にさせてくれるんだ」。
優勝の瞬間、まっさきに駆け寄って、2人の耳元にささやいた。
「ジャッキー、アイラブユー。アイラブユー、ビリー!!」。最愛の家族にささげる、日本ツアー初優勝 。「最高にファンタスティックだね!」