ツアーを支える人々<3年連続3度目のマスターズの競技委員をつとめた山中博史・JGTOシニアディレクター>
日本ゴルフツアー機構のシニアディレクター・山中博史が、今季メジャーの第1戦「マスターズトーナメント」で、3年連続3度目の競技委員をつとめて無事帰国しました。
「毎年、訪れるたびに新しい発見や感動がある」(山中)というオーガスタで、今年もまた大いに刺激を受けてきた様子です。中でも今年一番の感動は、なんといってもアーノルド・パーマーの、オーガスタでの選手としての最後のプレーでした。
予選2日目。18番グリーンの担当だった山中は、まさに“最後の1打”を目の前で目撃しました。目に涙を浮かべたパーマーが、手を振りながらグリーンに近づいてきたとき、山中は確かに、その場の空気がビリビリと、震えているのを感じました。
カップの位置をずらしただけでこんなにもガラリとゲーム展開が変わる
「拍手と歓声で地面が揺れる、と言ったほうが的確な表現でしょうか。誰ひとり座っている者などおらず、居合わせた人みんながスタンディングオベーションで最後の1打を見守る光景は、これまで経験したことのない高揚感に包まれていました。ほんとうに、貴重な風景を見せてもらったと思います」
ほかに競技の面で大いに勉強になったのは、最終日のバックナインです。最終日は競技委員会の話し合いの中で、「終盤の優勝争いは、よりスリリングなゲームを演出しよう」ということになり、シビアなピン位置のフロントナインとは対照的に、後半のホールはマスターたちの挑戦意欲をあおる位置にカップが切られました。優勝したミケルソンのアーメンコーナーでのバーディラッシュを含め、パドレグ・ハリントンやカーク・トリプレットの16番パー3でのホールインワン、韓国のチェ・キョンジュの11番パー4でのイーグルなどはもちろん、選手たちのポテンシャルの高さもありますが、競技委員会側の意図的な演出も大いに関係していた、と山中はいいます。
「わずか数十センチ、・・・場所によっては数センチ、カップの位置をずらしただけでこんなにもガラリとゲーム展開が変わるんだな、と・・・。“裏方”として参加しているだけに、よけいにそのからくりが手にとるように実感できて、ほんとうに感動しました。エンターテイメントを意識したコースセッティングは、やはりさすがだと思わずにはいられませんでしたね」
日本人選手も、アジアの選手に見習うべきところがたくさんある
また、そのほかに驚かされたことはアジア勢のパワーと、米ツアーでの彼らへの評価の高さです。今年、中国人プレーヤーとして初出場を果たした張連偉は、現地テレビ局で大きく特集番組が組まれるなど、開催前から注目を集めていました。残念ながら1打足りずに予選落ちとなってしまった張とは2日目の夜、たまたま中華料理店で一緒になったそうですが、そこでは「初日はとにかく夢中でプレーしているうちに、いつのまにか5オーバーも打ってしまっていた感じ。今日はなんとか巻き返そうと必死に頑張ったけど、惜しかったね。もっと米ツアーでの経験を積まないといけないと、改めて思いました」と、話していたそうです。
あとは韓国のチェ・キョンジュの、最後まで優勝争いに絡んだ活躍ぶり。「韓国人プレーヤーとしてのいちばんの長所を、十分すぎるほど兼ね備えているのが彼です。使い古された言葉になりますが、“根性”とか“ガッツ”とか、目標にむかってハングリーに突き進む精神力が彼は特に長けている。また、その実力を高く評価されているだけでなく、普段の性格もとっても良くて、他の米ツアーの選手からも大変慕われています。彼を嫌いという選手はまずいないといっていいでしょうね。ツアーの中にしっかりと自分の位置を確立していて、たくましさを感じました」。
チェはジャパンゴルフツアーでの優勝経験があり、張も2年連続のシード選手です。その2人が世界の舞台へと躍進を続けていることに、大きな喜びを感じたのと同時に、「日本人選手も、彼らに見習うべきところがたくさんある」と、痛感して帰ってきた山中の究極の夢は、「日本ツアーを世界レベルにまで引き上げること」。今回3度目となったこの遠征を材料に、夢実現にむけ山中をはじめJGTOスタッフの奔走は、これからも続きます。
JGTOニュース
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